■Kakapo (Strigops habroptilus)■

~ フクロウオウム ~

水棲生物が続いているので今回は書きかけたまま何年間も眠っていたカカポの記事を書き直してアップすることにします。
和名はフクロウオウム、これは属名の "Strigops" が古代ギリシア語で「フクロウの顔」を意味するそうなので、そこから命名されたのでしょう。ちなみに、種小名 "habroptilus" の意は「柔らかな羽毛」。
確かにカカポの全体的な印象はまるまると太ったオウム、といった感じですが、平面的な顔はフクロウを彷彿とさせます。また多くのフクロウがそうであるように、カカポは夜行性のオウムです。
羽毛は周囲の緑に溶け込むモスグリーン、体長は60センチにもなる巨漢のオウムで、見た目からも想像できるとおり体に対して小さな翼しか持っておらず空を飛ぶことは出来ません。
ただし、意外といってはなんですが、いわれているほどノロマではなく、スキップするようにそこそこのスピードで走り回り、木登りも得意です。

というのも、カカポの主食は木の実だからで、クチバシを上手く使って器用に木を登っていきます。
人なつこく、見た目もころころして可愛いですが、繁殖シーズンともなるとオスはメスの奪い合いで豹変し、場合によっては恋敵を殺すこともあるとか。
~ 絶滅寸前 ~

2014年5月30日、マギー (Maggie) と名付けられたメスのカカポが死んだというニュースがありました。地滑りに巻き込まれたらしいのです。
マギーの年齢は36歳だったといいます。かなりの高齢に感じますが、カカポは60年以上、最高で80年ぐらい生きることもある長寿のオウムなので、マギーはまだまだ若い方です。
自然災害で死んだ、そして特筆するほど高齢だったわけでもない一匹のカカポの死がどうしてニュースになるのでしょう?
実はこの愛らしいオウム、かれらの生息数が極めて危機的状況にあるからです。一匹たりとも無駄に死なせるわけにはいかないのです。
絶滅寸前まで数が減少した原因はご想像通り、オーストラリアやニュージーランドに移住してきたヨーロッパ移民たちが他の多くの動物たちにしてきたのと同様、この無防備な鳥に対しても過度の殺戮を繰り広げたからです。
目的はその美味な肉と羽だったといいます。
人類の殺戮に加え、人類の持ち込んだ動物たちもカカポの殺戮に荷担することになります。
カカポを捕まえるのは人間であっても動物であってもとても容易だといいます。彼らは飛べないだけでなく、身の危険を感じるとそのモスグリーンの羽を保護色に自然に同化しようと動きを止めてしまうからです。
その結果としてカカポの数はみるみる減少し、本当に数えるほどしかいなくなってしまいました。

1989年にカカポ復興計画 (Kakapo Recovery programme) が発足したものの、その減少に歯止めはきかず一時期は60羽を切るほどまで減少しました。
しかし、復興計画の努力の甲斐があり、現在 (2014年) では150羽近くどまでその数を回復しています。
今でも危機的な状況であることに変わりはありませんが、少しずつ増加傾向にあり、カカポの未来にわずかに光が差し始めています。
かつては森のそこかしこにカカポがいたといいます。そんな森が戻ってくればいいですね。
<参考文献・参照サイト>
●世界動物発見史 (ヘルベルト・ヴェント著)
●Kakapo recovery
●The Fabulous KAKAPO
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-998.html
気に入って頂いた方はクリックして頂けると嬉しいです
人気 blog ランキング でオカルト・ホラーサイトを探す
>> FC2 ブログランキング (オカルト・ホラー)
>> 面白サイトランキング
(関連)
■ 不思議な生物
■ 誤認・絶滅動物リスト
■ 50億羽が絶滅 ~ リョコウバト
■ 50億羽の最後のリョコウバト ~ マーサ
■ タスマニアタイガー (サイラシン)
■ タスマニアタイガー Part II (絶滅していない証拠?ビデオ)
■ 最後のタスマニアタイガー ~ ベンジャミン
■ 食べ尽くされた巨大鳩 ~ ドードー
■ ドードー肉のナゲットに恐竜モモ肉のローストはいかが?
■ ステラーカイギュウ
■ ジャイアント・モア
■ 微動だにしない鳥 ~ ハシビロコウ
■ 巨大コンドル ~ アルゲンタビス
■ モアを狩った巨大ワシ ~ ハースト・イーグル
■ 12メートルの超巨大翼竜 ケツァルコアトルス
■ サンダーバード
■ 謎の大絶滅 ~ ロッキートビバッタ
■ 黄金の番人 ~ チチカカオレスティア
■ 超足の長いハト (ポウター)
■ ロック鳥
■ 現世最強の鳥 ~ ヒクイドリ
■ 脚と肉のないトリ (極楽鳥がUMAだった頃)
■ ヨウスコウカワイルカ、ついに絶滅する
■ 謎のミツバチ大量失踪
UMA一覧へ
トップページへ