■Lycosa Hispanica■
~ 母性愛 ~

一部のマニアを除けば、クモの仲間はあまり一般受けしない生物といえます。
ですが、「擬人的」な表現を許されるのであれば、毛嫌いされるその姿とは裏腹にクモはわりと「母性的」な生物といえます。
「母性的」というのは言葉のあやで、もちろん全部が全部ではありませんが、自らの子供たちには「優しい」面があります。
安富和男さんの著書「へんな虫はすごい虫」に登場するカバキコマチグモなどはその典型です。
日本の在来種である、大きさは1センチをちょっと超えるぐらいのこのクモは毒を持ついわゆる「毒グモ」です。人間にとっては忌々しい姿だけでなく、実害まであるのですからとても厄介なクモです。
さて、このカバキコマチグモの「母性愛」をみてみましょう。
母グモは巣を作りその中に卵を産みます。子グモたちが無事に孵 (かえ) るのを見守るため一緒に巣に待機します。
しばらくすると子グモたちが卵から一斉に孵りますが、それでも母親は巣にとどまります。母グモは子グモたちが1回目の脱皮を終えるまで面倒を見るからです。
小さな小さな子グモたちはすくすくと育ち、何日かするとやがて1回目の脱皮をむかえることになります。そう、母親の役目は終わりです、子グモたちの巣立ちの時だからです。お疲れ様でした~
素晴らしいというか、凄いのはここからで、1回目の脱皮を終えた子グモたちは、今まで見守ってくれた母親に別れを惜しまんと一斉に駆けつけるのです。
母親の元を去る前に最後の挨拶とばかりに集まるなんて、なんていい光景なんでしょう。
確かに彼らは母親と最後の別れとなりますが、それは意味が違うのです、集まっているのは母親の体を食べるためだったのです。
「用済みの母親」は子グモたちの血となり肉となるがために自らの体を捧げているのです、逃げることも可能なのに決して逃げることはないそうです。
~ タランチュラコモリグモ ~

さて、今回の主役、タランチュラコモリグモ、和名に「子守り」という単語が入っている通り、巣立つまで子守をします。いわゆる「母性的」なクモです。
ただし、メスグモはたいへん母性的ですが、このほど研究により、想像されていたより男性には非常に厳しいことが判明しました。
食べちゃうからです。
いや、このクモに限らず、クモの仲間は結構いい確率で交尾後にオスを食べてしまうので、それ自体はそう珍しくありません。オスは自らの遺伝子をメスに託したのです、食べられたとしても役目の終わったオスに悔いはないでしょう。

この残虐ともとれるクモ界において、タランチュラコモリグモのメスが問題視されているのは、交尾をしにやってきたオスを「交尾する前に食べてしまう」という、「オスがエサにしか見えていない」という点です。
エサの食いっぷりで、「気性の荒いメス」と「それほどでもないメス」に分類し、繁殖期にオスとご対面させてどうなるか実験しました。
「それほどでもないメス」は好みの男性の場合は交尾しますが、好みじゃないと交尾前に食べてしまったそうです。

いっぽう、「気性の荒いメス」は100%オスを食べてしまったといい、まったく交尾する気なしです。オスグモとエサの区別がつかないという致命的な病気にかかっているのでしょうか。
では「気性の荒いメス」は子孫を残さない? (残せない?)
いやいやそうではないようです、繁殖期序盤はオスでもエサでもなんでも食いまくりますが、交尾相手も少なくなってきた繁殖期終盤にはちゃんと交尾するようです。
確信犯かい。
詳しくはナショナル・ジオグラフィックさんをどうぞ。
<参照サイト・参考文献>
●ナショナル・ジオグラフィック
●「へんな虫はすごい虫」(安富和男著)
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-893.html
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ちゃんと自然界で生き残ることに必要な事項をこなしてるまでですね
役目を終えた母親も幼体の活力に取り込まれてゆくあたり無駄がありません