■イエティ (ヒマラヤの雪男)■
■Yeti (Abominable Snowman)■
(エリック・シプトン撮影のイエティの足跡)
~ もっとも有名なUMA ~
最近こそ話題に上ることは少なくなってきましたが、イエティは世界でもっとも有名な UMA (未確認生物) のひとつといえます。
日本では「ヒマラヤの雪男」とも呼ばれます。
英語圏ではイエティ (Yeti) という呼び名と同じぐらいアボミナブル・スノーマン (Abominable Snowman) という呼び名で浸透しています。
イエティとは、ヒマラヤ山脈に生息するといわれる類人猿の特徴を持つ未確認生物で、獣人というグループに分類されます。
人間のように直立二足歩行しますが、全身は長く黒っぽい毛で覆われており、巨大なゴリラのような姿をしています。
背丈は人間と同じぐらいというものから、3メートルとか最大5メートルという目撃情報もあります。しかし、さすがに5メートルというのはあまりに大きすぎるでしょう。
一般的には2メートル前後の目撃情報が一番多く、常識的に考えてもこのぐらいが無難な大きさではないかと思います。
~ ネパールから世界へ ~
さて、今でこそ知らない人がいないほど浸透している「イエティ」ですが、世界的な知名度を得たのは20世紀の半ばを過ぎてから、つまり最近のことです。
もっとも地元ネパールでは誰もが知っている存在といわれてしましたが、雪に閉ざされた閉鎖的な地域ということもあり、外部に情報が伝わることはあまりなかったようです。
イエティが世界に知られるようになったのは、ヨーロッパの人々が世界最高峰、エベレスト山脈の登山に挑むようになり、頻繁にこの地域に出入りするようになったためです。
登山者たちはイエティの噂を耳にするようになったものの、それでもはじめは半信半疑だったことでしょう。
しかし、人類が海に進出し始めた頃、海の魔物 クラーケン や シーサーペント が船乗りたちによって目撃・報告されることになったのと同様、圧倒的な自然を前に、イエティに対する疑念なども吹き飛んでしまったことは想像に難くありません。
登山から帰ったヨーロッパ人により、イエティの噂や目撃情報が続々と持ち帰られることになって行きました。
そんな中、一気にイエティをメジャーな地位に押し上げたのが、1951年、登山家エリック・シプトン (Eric Shipton) によって撮影された「イエティの足跡」写真の存在です。
比較のためツルハシを横に置いて撮影されたその足跡は、驚愕の45センチという大きさで、世界中に衝撃が走りました。
~ 激減するイエティの目撃 ~
登山者の増加に伴い、目撃情報はそれに比例して増えていくものですが、実際は登山者の数に反比例するかのように、年を追うごとに目撃証言は減ってきています。
現在では話題に上ることも少なく、アメリカ版イエティ、ビッグフットに完全におされ気味です。
目撃情報の減少は、もともとイエティなどという獣人は存在していなかったから、といわれればそれまでです。
しかし、もう少し「良心的に」解釈すれば、「雪山でイエティを目撃すること自体が例外的な出来事」と考えることで、説明が付きます。
イエティが存在するのであれば、それが類人猿であれなんであれ動物であることに疑いはなく、食料を得なければいけません。
たとえばイエティが肉食、もしくは雑食である場合、深い雪に覆われた山腹でエサとなる野生動物を捕らえるのは至難の業です。
たまたま通りかかった動物を捕まえるか、もしくは運よく死体が転がっているのに遭遇するかしかエサを得ることは出来ず、決して効率のいい "狩猟" とはいえません。
かつて登山家たちが見たイエティの姿は、イエティたちの生息する少し離れた地域からたまたま迷い込んでしまった個体だったのかもしれません。
そういった、「例外的に」目撃されていたイエティたちも、登山が盛んになるにつれ、人間を恐れこの地に姿を見せなくなったと解釈すれば、登山者の数と反比例する目撃情報の数も説明できます。
~ その正体は ~
それではイエティの正体について考えて生きましょう。
イエティの正体として挙げられる代表的なものには、クマをはじめとする野生動物 (既知・未知問わず) の誤認、ネアンデルタール人、アウストラロピテクス、そして ギガントピテクス などがあります。
もし本当にイエティが存在するにしても、数あるイエティ目撃情報の中には野生動物を誤認したものもおそらく含まれていることでしょう。
野生動物の誤認が一番考えられますが、ここではネアンデルタール人とギガントピテクスを見ていきます。
ネアンデルタール人は、現生人類、ホモ・サピエンスとは別系統で進化した謎多きホモ属で、2万年以上前に絶滅しました。
ロシアやモンゴルなどの地域で目撃される獣人、アルマス の正体としても取り上げられています。
体はさほど大きくないものの、屈強な体を有し、寒冷な気候に耐えるため非常に毛深かったと考えられており、大きさをのぞけばイエティの姿に似ていたとも考えられます。
しかし、ネアンデルタール人がもし生き残っていたとしてもなんらかの服を着用しているはずで、雪山を裸で走り回っているとは考えられません。
それゆえ、例えネアンデルタール人を目撃したとしても、「毛深い (原始的な) 人間」と誤認することはあってもゴリラのような姿には見えないものと推測されます。
それでは ギガントピテクス はどうでしょう?
(ギガントピテクス)
ギガントピテクスとは、およそ100万年ほど前まで現在の中国地域に実在していた史上最大の類人猿です。
その姿はゴリラ、もしくはオランウータンに似ているものの身長は現世のゴリラの約2倍、3メートル前後もあったと考えられています。(ただし、最近では大きくても2メートルを少し越すぐらいではないか、という考えが主流です)
この謎の多い史上最大の類人猿、ギガントピテクスの化石は歯やアゴなど、ほんの一部の骨しか見つかっていません。
ネアンデルタール人とは異なり、巨大であり、当然服を着ているはずもなく、むしろこちらの方がイエティの正体としてはうってつけです。
ただし、大型の類人猿がみなそうであるように、ギガントピテクスも熱帯の森林に適応していたものと考えられており、絶滅していなかったにせよ、雪山をノコノコと歩き回るものかどうかと考えると疑わしいものです。
~ イエティは実在しない!? ~
あれこれ考えても、実はそんな夢を打ち砕く説が比較的最近になって発表されました。
その説を発表したのはイエティ研究もしている登山家の根深誠 (ねぶかまこと) さんです。
根深さんによれば、日本で雪男と訳されている「イエティ(現地語でメティ)」はヒグマの仲間、ヒマラヤン・ブラウン・ベアのことであり、「ゴリラのような雪男像は、昔作られた想像図が人々の意識に定着したもの」と説明しています。
このことから、根深さんは「イエティは現地でヒグマのことを指している」と結論づけており、いわゆるイエティ = 雪男という見解を否定しています。
そして、イエティ=ヒマラヤの雪男は資金集めに困った登山家たちが捏造したUMAであり、目撃情報その他もまったくデタラメだったという見解もあります。
登山家や旅行家たちの度が過ぎた目撃情報というのは確かに存在します。
例えば、ジャン・マルケ=リヴィエールは、身長3~4メートルのイエティ10頭あまりが太鼓を叩いているのを、ペトロス皇太子はイエティが樽一杯の酒を飲み干し、グデグデに酩酊していたのを目撃した、とそれぞれ主張しています。
とてもありそうにもない話で、そのほかの捏造されていない目撃情報にしても、脱走したチベット人犯罪者やラマ教の隠者など本物の人間を「イエティ」と誤認したケースも存在することが判明しています。
写真の撮られた大きな足跡にしても、ハヌマンラングールの足跡が昼間の雪解けで何倍にも大きくなり、夜間に再度凍結して「イエティの足跡」を形作ったもの、と説明されています。
否定的な見解は説得力があり、イエティ存在を危機的状況に追い込んでいます。
とはいえ、目撃情報が少なくなった現在でも、時折イエティの新目撃情報が伝えられます。
今でも世界中で愛され続けるUMA、イエティ、これだけ否定されても、存在を裏付ける物的証拠が発見されれば状況は一変します。
そんな淡い期待でも気長に待ち続けるのが真のUMAファンといったところでしょう。
<参考文献>
● 世界動物発見史 (H・ヴェント著)
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