■nematode sp■

お休み中、宿主を性転換させる寄生バクテリアことボルバキアが話題になっており気になっていました。今回はボルバキアに関連した寄生虫について書きたいと思います。ボルバキアはまたあとで、、、
~ フクロムシ & ヤドリムシ ~

(アイソポッドの仲間、ヤドカリノハラヤドリ)
宿主 (寄生されている側) のオスをメス化させる寄生生物は意外と存在しており、以前紹介した寄生甲殻類フクロムシはカニという親近感ある生物をメス化させるということもあり特に有名です。
寄生虫さん、寄生して宿主の栄養分を盗んでるんだからせめて大人しくしていようよ、とはいきません。寄生虫は宿主をとことん利用し、骨の髄までしゃぶりとり死ぬまでこき使わせます。
つっかえないオスに寄生してしまったら利用価値の高いメスに変えちゃおうよ、というのが寄生虫の凄さ。
フクロムシに寄生されたメスのカニはメスのままですが、オスに寄生するとカニが脱皮を繰り返すごとに見た目も振る舞いもメスに近づいていきます。

(タイノエのペア)
いずれにしても、フクロムシに寄生されたカニは雌雄関係なく自らの生殖能力を失ってゾンビ化し、フクロムシの卵育てみマシーンとしてその一生を終えます。
詳しくは分かりませんが、ダンゴムシとかの仲間 (等脚類) のヤドリムシもオスのエビやカニなどの甲殻類に寄生すると精巣を卵巣に変えてしまうという荒技をもっているとか。
ちなみにヤドリムシの仲間、ヤドカリの腹に寄生するヤドカリノハラヤドリ、ショキタネナガエビのエラに寄生するショキタテナガノエラヤドリ(しかも新種)、など「寄生する生物+接続詞「の」+寄生する部分+ヤドリ(ムシ)」というまったく工夫のない分かりやすいネーミングが特徴です。
~ カゲロウ ~

さて本題、お気に入り本「パラサイト・レックス」(カール・ジンマー著) にもカゲロウをメス化させてしまうフクロムシのような線虫が登場します。
成体になると寿命がすぐに尽きてしまうことで有名な昆虫、日本を始め、その寿命の短さでセミと並び「はかなさの象徴」となっているカゲロウをみなさんもご存じでしょう。
一応書いておきますが、「成虫になってからの寿命が著しく短い」というだけで、卵から孵ってから死ぬまでの寿命が短いというわけではありません。
確かに成体の寿命は短い種では1時間かそこら、長いものでも1週間以上生きるものがどれぐらいいるのかどうか、、、しかし、幼虫の期間を含めればカゲロウは特に寿命が短い昆虫ではなく、セミに至っては昆虫界でもトップクラスの寿命の長さです。
が、そこはイメージ、カゲロウ (そしてセミ) はあくまで「はかなさの象徴」として呼んでいただきたいと思います。その方がよりいっそう可哀想に感じますので。
~ カゲロウをメス化させる線虫 ~
こんなはかない生物にももちろん寄生虫は容赦ありません。
ある種のカゲロウに寄生する線虫は、フクロムシ同様、カゲロウの雌雄を判断することもなく寄生します。
が、線虫が寄生したいのはメスのカゲロウです。というのも、このカゲロウたちは川から顔を出した石に産卵するのですが、カゲロウたちは交尾後、その産卵のタイミングを見計らってカゲロウの体を破って出てきたいからです。産み落とされた卵から孵ったカゲロウにまた寄生するという算段です。
一方、オスのカゲロウは交尾後、草むらに落っこちてすぐに死んでしまいます。このはかない命こそカゲロウの特徴ですが、成虫期間は短いといえど、子孫を残す使命を果たしたのです、悔いのない生涯といえます。
しかし、「いいカゲロウ人生だった」と線虫はそうもいっていられません。草むらに落っこちて死なれた日には線虫も巻き添え食ってその場で死に絶えるしかありません。最低でも川の中に落っこちてもらわないと困ります。
なので、絶対にメスに寄生しないといけませんが、上記の通り雌雄関係なく寄生してしまいます。
とはいっても線虫は少しもあわてません。オスに寄生してしまった線虫は、オスのカゲロウを見た目も行動もメスとそっくりにさせてしまうミラクルな能力を持っているからです。
但し問題もあって、いくら見た目や行動を似せたとしても、オスのカゲロウに卵も産む能力はありません。本質的に体の内部は男性ですから、寄生することによって女装を得意にさせられた男性みたいなものです。
~ オスカゲロウの終焉 ~

(カゲロウの幼虫)
線虫にとってはそれで十分のようです。産卵できないオスのカゲロウですが、メスと同様、卵を産むのに適した水から頭を出した石を見つけに行くからです。そしてそこで産卵をしようと試みます。
産めるはずもない卵を一生懸命産もうとするオスのカゲロウ、はかないだけでなく哀れにさえ感じます。
と思うのも束の間、この(水辺に近づいた)タイミングを逃すまじ!エイリアンさながら体をぶち破って線虫たちが這い出てきます。
そこには目的のカゲロウの卵はありません。
寄生する赤ちゃんカゲロウがいない!な~んてあわてないで。
深呼吸してそっと辺りを見渡してみましょう。
交尾を終えた無数の「本物の」メスカゲロウがそこかしこで産卵を始めているはずです。
まもなく卵から孵るはずです、美味しそうな赤ちゃんカゲロウが。
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-768.html
(参考文献)
■ パラサイト・レックス (カール・ジンマー)
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