■ネズミを洗脳し勇敢に ~ 寄生虫トキソプラズマ■
■Toxoplasma gondii■
~ 猫と鼠 ~
トムとジェリーの世界は別として、ふつうネズミは猫を見れば逃げますし、猫が通りそうな場所は避けるものです。
人間社会が生み出したクマネズミの怪物、スーパーラットなどはほとんどの殺鼠剤 (さっそざい) に耐性を持ち、からだも大きく飼い猫などを見ても簡単には逃げないかもしれません。
そういった例外はあるものの、やはり猫とネズミの狩る側、狩られる側の関係は、生まれながらにして運命付けられているものであり、「ネズミは猫を見たら逃げるもの」と相場は決まっています。
しかし、肉眼で見ることができない微小でちっぽけな原生生物、トキソプラズマはそんなネズミの行動を根底から変えてしまいます。
~ 猫の尿は怖い ~
ネズミが猫に狩られる運命が生まれながらに決まっているのと同様、ネズミは生まれながらにして猫を避ける術を知っています。
猫の尿の臭いをかげば、そこがネズミたちにとって危険な場所であることを意味します。ネズミはそれを理解し、そういった場所は極力避けようとします。
これはネズミにもともと備わっている防衛本能で、猫の尿の臭いに過剰反応します。
細心の注意を払って行動したとしても、やはり猫にばったり出くわすこともありますが、その場合は戦うのではなく、反射的に逃げます。
これが、生まれながらに備わった猫に対するネズミの防衛本能です。そして、このネズミの習性 (本能) を苦々しく思っている (?) のがトキソプラズマ (Toxoplasma gondii) です。
なぜなら、トキソプラズマは猫とネズミの間を渡り歩くことによってライフサイクルを完了、つまり子孫を次世代につなぐことができるからで、ネズミが猫から逃げ回って欲しくないのです。
~ 猫→鼠→猫 ~
(今回は特に関係ないですが、齧歯類最大カピバラ)
トキソプラズマは猫の体内で受精し、原生生物の卵ともいえるオーシストを大量に猫の糞便に混ぜて体外へ脱出させます。
猫の糞に混じって排出されたオーシストはネズミに食べられる必要があります。
糞がネズミに食べられなければそれにてオーシストは死んでしまいますが、他の寄生生物のライフサイクルと比べれば、これはそれほど難しい宿主移動ではありません。
ネズミに食べられたトキソプラズマのオーシストは、猫の体内に移動することによってライフサイクルを完了できます。
しかし、糞がネズミに食べられるのと異なり、次の移動は大変困難です。
自分が寄生している宿主 (この場合ネズミ) が、猫に食べられやすくする方法はいくつか考えられます。
トキソプラズマの作用によってネズミを殺してしまう方法、殺さないまでも動きを鈍くさせる方法などが一番手っ取り早い気がします。
ただし、その場合、猫が通らないような場所に行って死んでもらっては困りますから、宿主が死ぬ前に猫が来そうな場所に導く必要があります。
そういう風に考えると、この方法は意外に面倒ですし、そもそも野生の猫は、通常、死んだネズミや弱りきったネズミにはあまり興味を示しませんから、「ネズミの動きを鈍らせる、もしくは殺す方法」は、あまりうまい策とはいえません。
やはりネズミは健康なままでいてもらわないといけません。それに加え、猫に食べられやすくしないといけません。この相反するような条件をクリアしないとトキソプラズマは次世代の子孫を残すことはできません。
そこで、トキソプラズマが考え出したのが、ネズミに「勇気」を授けるという方法です。
~ ブレイヴ・ハート ~
(希に仲の良い猫と鼠がいますが)
トキソプラズマに寄生されたネズミは、少なくとも外見上、なんら健康状態を損なわれることはありません。
俊敏な運動能力はそのまま、これでは捕食される可能性は、寄生されていない他のネズミたちとまったく同じ、「運」だけのような気がします。
しかし、トキソプラズマに寄生されたネズミは、寄生されていないものと比べ捕食される確率が高いといわれています。どうしてでしょう?
あのちっぽけな原虫、トキソプラズマは、その進化の過程でネズミにブレイブ・ハート、「勇気」を植え付ける方法を編み出したからです。
「勇気」を授けられたネズミは、生まれながらに備わっている「猫の尿」に対する防衛本能が損なわれ、猫の尿の臭いがする場所、つまり猫が立ち入る場所にも平気で入り込みます。
もちろん、「勇気を授ける」という表現は言葉のあやで、ネズミの脳内の神経細胞に作用して、ネズミ本来の防衛本能を崩しているに過ぎません。
しかし、あながち「勇気を授ける」という表現も誤っていないと思えるデータもあります。
というのも、トキソプラズマに寄生されたネズミの中には、猫の尿の臭いを好んで探し求めるものまで存在することが実験の結果から判明しているからです。
運動能力そのままにして猫の立ち入る場所を行き来する「健康なネズミ」は、猫の格好の標的となり、格段に捕食される確率が高くなります。
見事に猫に捕食されたネズミの体内にいるトキソプラズマは、最終目的 (終宿主) である猫の体内に移動することに成功し、そこで成体へと成長し、次のライフサイクルが始まります。
今回はトキソプラズマの「正規ルート編」を紹介しましたが、次回は「トキソプラズマ全人類洗脳計画編」です。
<参照サイト>
● Technovelgy.com
● Live Science
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-734.html
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普通のネズミは猫の尿の臭いで逃げるんですよね??
だったら案外ネズミに猫の糞を食べさせるのも難しい気がするんですが・・・・
どうなんですかね???
なになに??人類洗脳計画??ガクガク((((゜д゜))))ブルブル
で、面白いのは正規ルートではなく、イレギュラー編なのでお楽しみを!
なんか複雑な勇気の授かり方ですね…。
猫の徘徊エリアに好んで侵入させる事もあるということは、この生物もある程度ネズミをコントロールできるんでしょうか?何にしても興味深い生物ですね。
しかし次回予告が気になる(笑)
まさか笑っていられるのも今のうち…?
ネズミに勇気を与える寄生生物ですか・・
すごい寄生生物ですね。。
どんな生き物でも生への執着があるんですね。。
余談ですが、最近のネズミはやらたとでかいです。ドブネズミ?ですかね・・?
住んでいるマンションの廊下で威嚇を受けました。まるごしの時に撃退する方法はごぞんじですか?
猫遣いの私は
トキソプラズマにやられてるかもしれないのか・・・
なんて衝撃的なブログだ・・・OTL
すごいですねwww
まぁ人間が寄生されてしまったら
信号が赤でも平気で
わたってしまうようなもんでしょうけどww
それにしても次は人間にまで行きますか・・・
なんかすごいというかなんというか
ついに人類の歴史も終わるんでしょうかwww
そういえば、昔おじいちゃんのうちに住み着いていたネズミは、人間を怖がらずに手にまで乗ってくるぐらいで、それが可愛くてよく遊んでいたんですが、これもトキソプラズマの仕業なんでしょうか??関係ないですか?
猫の体内に入ったトキソプラズマはどんな見た目ですか?飼っていた猫の糞に白い寄生虫が混じっていたことがあるんですが、これはノミの幼虫(?)と聞きましたがまさかトキソプラズマだったんでしょうか!?
それにしても人類洗脳計画って…怖すぎる><;
ネズミでいろいろわかりますね。
面白いですね
ちなみに次回のタイトルはちょっと大げさですね(笑)
>まるごしの時に撃退する方法はごぞんじですか?
分かりません(笑)
> トキソプラズマにやられてるかもしれないのか・・・
ほぼ確実に、、、そしてわたしもほぼ確実に、、、(笑)
> 信号が赤でも平気で
> わたってしまうようなもんでしょうけどww
ふむ、まさにそういう感じで、それは次回の記事で、で、実際はそれよりひどいかも?
そのネズミ、ハツカネズミですかね、野生のネズミが手乗りになるなんてすごいですよ!
ところでトキソプラズマは肉眼で見えるよほど大きいものじゃありません。顕微鏡サイズです、猫の糞に混じっているのは回虫とかのお子様です。ノミの卵や子供は毛の根元などに引っかかっています。
なかなか目に見えにくい行動の違いをよくまぁ見つけ出すもので、研究者の執念も素晴らしいですね。
それにしても、勇気を授けるって・・・結局食べられるのなら、無謀なだけですね。人間に寄生したらどうなるか、気になります。
脳の本能部分に作用するなんて、
現代脳医学・科学でも無理なのでは??
脳の働きも詳しくはわかっていませんし・・・・・。
全く持って凄いですね。
なんかね、人にもうつるらしくて、症状は同じように勇気が出るから、サッカーが強い国は猫を飼っている数と比例してるんだって。