■アリの来世はイチゴ!?寄生虫ミルメコネマ■
■Myrmeconema neotropicum■
~ 来世はイチゴ?キノコ? ~
霊能者が有名人の前世をみると、不思議なことに、織田信長や豊臣秀吉、はたまた国籍の壁を越えマリー・アントワネットやクレオパトラなどなど、誰でも知っている歴史上の超有名人が登場することが多々あります。
ま、それらの真偽は別にどうでも良いのですが、それでは前世ではなく来世、みなさんは何に生まれ変わりたいでしょう?
なんにでもなれるのであればその答えも十人十色でしょうが、今回は限定的、というか究極の二者択一形式、「イチゴ」か「キノコ」から選んで頂きたいと思います。
「キノコ」はマツタケなのか?エリンギなのか?トリュフなのか?と質問もあるでしょうが、別に好きなキノコになってもらって構いません。立派なマツタケでもなんでもなってください。そこまでは限定しません。
しかし、推測するに、キノコを希望する人は少ないのではないでしょうか?「キノコ」と「イチゴ」からしか選べないというのであればやはり「イチゴ」のほうがマシであると。
そもそも動物から菌類、もしくは植物に生まれ変わるのはとても抵抗を感じてしまいます。
しかし、イチゴに生まれ変わる昆虫がいるとしたら?
~ ナベブタアリ ~
(ナベブタアリ)
中南米に多く生息する頭部の形がとても印象的なナベブタアリ、という一風変わった名前のアリがいます。
名前がおもしろいだけではなく、このアリはとても興味深い特徴を持っています。
ナベブタアリを脇役として書くのはとてももったいないほどなのですが、このアリの仲間はすべて「滑空」することができます。
樹木で餌を探しているときに風で吹き飛ばされたり天敵に襲われたりすると、走って逃げるのではなく、そのまま枝から飛び降ります。
飛び降りるだけなら物理的にはどんなアリでも出来ますが、ナベブタアリの場合はその体の軽さを利用し、足と体でバランスを取り、思うがままに方向転換、落下スピード・落下地点の調節をすることができます。
フライング・スネーク (トビヘビ) なども顕著な皮膜を持たずに高度の滑空技術を見せつけますが、彼らに劣らずすごい技術です。
今回はその滑空技術ではなく、かれらの来世についてのお話です。
~ 冬虫夏草 ~
(キノコに生まれ変わったアリ)
アリに限らず、多くの昆虫たちは「キノコ」になってしまうことがあります。
冬虫夏草、冬の間は虫で、夏になると草 (キノコ) になってしまうという不思議な生物、漢方などでお馴染みですが、これは菌類に体を乗っ取られた昆虫、逆にいうと昆虫の栄養で育つ菌類です。漢方の冬虫夏草は幼虫に寄生するものが主です。
昆虫の体についた菌糸が体の表面のクチクラを破り、昆虫の体全体に広がり、生きた昆虫の養分を吸い上げます。
寄生直後から数日はなんら代わり映えしませんが、Xデーを迎えると昆虫は動くことがままならず、木の幹や草にかみついて体を固定するとそのまま絶命していまいます。
体を固定して死んでしまった昆虫からはニョキニョキとキノコが生えて来るというわけです。
菌類の種類によって狙う獲物 (昆虫) は異なりますが、たいていは特定の種にのみ特化しており、アリに寄生するものは特定のアリ、セミに寄生するものは特定のセミ、とオールマイティではありません。
(キノコになってしまったバッタ)
また、昆虫の死に場所も菌類が操作しており、特に成虫に寄生する菌類は、基本的になるべく高いところに連れて行って殺してしまうことが多いようです。
これは胞子を宿主のからだの上にまき散らしやすいようにするためのようです。
来世はキノコにはなりたくないものです。
~ イチゴに変身 ~
と、相変わらずの悪い癖で前置きが大変長くなってしまいました。
来世はやはりキノコではなくイチゴがいいような気がします。
来世にイチゴになれるのは前述のナベブタアリの一種、セファロテス・アトラトゥス (Cephalotes atratus) です。 しかし、来世がイチゴというのも決してバラ色の人生ではありません。
もちろん、昆虫が植物に変化するわけがありませんから、これも冬虫夏草同様、寄生によるものです。
寄生虫の名前はミルメコネマ・ネオトロピキュム (or ネオトロピクム, Myrmeconema neotropicum)、小さな小さなセンチュウです。
この寄生虫、まだあまり詳しいことは分かっていませんが、今までに紹介した寄生虫と比べると、そのライフサイクルはそれほど複雑なものではないようです。
基本的にナベブタアリの体内でライフサイクルを完了することが出来ます。
しかし、生息領域の拡大のためでしょうか、ナベブタアリだけでなく、なんらかのトリもライフサイクルに取り込んでいる可能性が示唆されています。
というのも、ミルメコネマに寄生されたアリは腹部がふくらみ、真っ黒だったからだが腹部のみ真っ赤になります。
(人生は風前の灯火、イチゴになってしまったアリ)
そして動きも緩慢になり、熟した野イチゴ (キイチゴ) やグミ (お菓子のグミじゃないですよ) とそっくりになります。たくさんの実の中に紛れると、はためには区別がつきません。来世どころか生きたまま「イチゴ」に変身です。
ちなみに、昆虫学者は寄生されておなかの赤いナベブタアリを新種 (のナベブタアリ) と思っていたほどです。
苦い蟻酸 (ぎさん) を持つアリは、トリには決して人気のある食料ではありません。しかし、この姿ならどうでしょう?
せわしなく野イチゴを食べているトリの中には間違って、「ナベブタアリの野イチゴ」まで食べてしまうものもいるかもしれません。
なにせ寄生されたアリは動きが遅いですし、しかも寄生されると腹部のみ簡単に外れるようになります。食べる側には願ったりかなったりの気の利かせようです。
真っ赤に熟した「ナベブタアリの野イチゴ」にはミルメコネマの卵がぎっしりと詰まっています。これを食べたトリはミルメコネマの卵入りの糞をどこか遠くにまき散らしてくれることでしょう。
その糞をナベブタアリが食べれば、ミルメコネマのサイクルは再度スタートします。
ただし、まだ「ナベブタアリの野イチゴ」を食べているトリは観察されておらず、この説は確かなものではありません。
もしかするとオマキザルの仲間などを利用しているのかもしれません。
いずれにしても、来世は「キノコ」であっても「イチゴ」であっても災難に変わりありません。
<参照サイト>
● Weird Science
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-716.html
↓気に入って頂いた方はクリックして頂けると嬉しいです
人気 blog ランキング でオカルト・ホラーサイトを探す
>>FC2 ブログランキング (オカルト・ホラー)
>>人気の面白サイトを探す
(関連)
■ 不思議な生物リスト
■ 冬虫夏草 (微グロ注意)
■ 実在するゾンビウイルス ~ バキュロウイルス
■ 殺人アメーバ ネグレリア・フォーレリ
■ マインドコントローラー ディクロコエリウム
■ ネズミを洗脳し勇敢に トキソプラズマ
■ 全人類洗脳計画 トキソプラズマ 人間寄生編
■ 殺人蟻の首狩り職人 ~ ノミバエ
■ カゲロウに寄生しメス化させる線虫
■ ゴキブリをゾンビ化、エメラルドゴキブリバチ (グロ注意)
■ イモムシをミイラ化して殺す ~ シャキーラ・ワスプ
■ カニをゾンビ化 ~ フクロムシ
■ カタツムリ寄生 レウコクロリディウム (グロスーパー注意)
■ ハリガネムシ (グロ注意)
■ 人体寄生 ~ ヒトヒフバエ (グロ注意)
■ 人体寄生 ~ ギニア・ワーム (メジナ虫) (グロ注意)
■ メダカを自殺させる?寄生虫ユーハプロルキス
■ センスの悪い寄生虫? ~ プセウドディプロルキス
■ テントウムシをゾンビ化 ~ テントウハラボソコマユバチ
■ 殺したアリを門番に雇用 ~ ボーン・ハウス・ワスプ
■ ジュラ紀の吸血生物 ~ キイア・ジュラシカ
■ 触れたら最後、拷問台を作るアリ ~ アロメルス
■ 数珠繋ぎで獲物を運ぶアリ ~ ハシリハリアリ
■ 殺人蟻 ~ ジャック・ジャンパー (ブルドッグアリ)
■ 恐怖の寄生植物 ~ ウィッチウィード (魔女草)
■ 真・殺人ナマズ ~ カンディル
■ スコットランドに現れた謎のゼリー状物体
■ ウジ入りチーズ高級チーズのシェフ ~ チーズバエ
■ 殺人蟻 ~ アカヒアリ (カミツキアリ, RIFA)
■ 洪水になったらイカダで脱出 ~ ヒアリのイカダ
■ メドゥーサ・ワーム (スパゲッティ・ワーム
■ 砂漠の怪植物 ~ ウェルウィッチア
■ 3000歳を超える奇妙な植物 ~ ヤレータ
■ 猛毒植物 ストロファンツス
■ 史上最強!?ライオンゴロシ ~ 悪魔の爪
■ スマトラオオコンニャク (死臭花)
■ 寄生植物 ~ ラフレシア・アーノルディ
■ 死んでも死なない!?フッカツソウ
■ 実在する悪魔の植物 マンドラゴラ
■ トライしたい10のエキゾチック・フルーツ
■ 半草半獣の新種微生物、ハテナ?発見
UMA一覧へ
トップページへ
生まれつきパラサイトだし。
それにしても一体誰が仲介役ナンデスカ?!
蟻も災難。
…ナベゾコ?
もっとなんとか付け様があったろうになぁ~センスヒド過ぎ。
前回レスのアレはウル〇〇〇ンタロウに、同名の出て来て30秒で「脱出!」な巨大戦闘機?が登場してたな、と(苦笑)。
自由に生活=即死、ですからねー
おそらく、蟻→鳥→蟻→・・・の単純な循環と考えられます。
あ、あと、あのすぐ墜落する飛行機のことですか(笑)
一瞬でかい苺想像してしまった
蟻って確か腹部が
膨らむと赤いイメージがあります
どの種類の蟻か忘れましたけど
オーストリアに腹部が10倍くらい膨らむヤツもいますよ
結構、寄生虫ファンです。
レウコクロディウムは特に好きですね。
numbさんはかなり厳しそうな感じでしたが(笑)
あとは、定期出現性のミクロフィラリアも面白いです。
何で外の時間がわかるんでしょうか??
不思議です。
今回の寄生虫は蟻をイチゴに擬態させるのですね。
毎回、素晴らしい技を見せてくれる、
寄生虫にこれからも期待です!
オーストラリアのはミツツボアリですね。選ばれた働き蟻が、生きた蜜の壺になって一生を過ごすんですが、アボリジニーの人がよく食べているのを放送されていますよね。
フィラリア系もおもしろいのがあったら書こうかなとは思ってます。
この前のキノコの続編ですか?苺のほうが見た目的にもいいですね。僕は苺派です。
これからもサイトの運営がんばってください
あれを大きくさせることに何か意味があるのでしょうか?
それにしても寄生虫は良くできてますよねぇ
ぬるびんさん、農園やってるんですか?うわーカメムシは特に勘弁ですねーあの臭さは半端じゃないですものね。農家のみなさんは虫との戦いですよねー