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巨大ベレムナイト ~ メガテウシス・ギガンティア

■巨大ベレムナイト ~ メガテウシス・ギガンティア■
■Giant belemnites (Megateuthis gigantea)■



~ サンダーボルト ~

雷に撃たれて亡くなる人がいますが、もちろんそれは感電によるものです。

そうではなく、雷に撃たれて死ぬのは、雷と共に空から槍のようなものが降ってくるからだとしたら?中世のヨーロッパでは、そのように考える人たちもいました。

証拠はありました。空から降ってくるサンダーボルト (落雷, thunderbolt)」とかサンダーアロー (雷の矢, thunder-arrow)」と呼ばれる槍は地中に埋まっているからです。

雷に撃たれた人は空から降ってきたサンダーボルトに体を貫かれ、体を貫いたサンダーボルトは勢い余って地中深く深くに埋没してしまいます。

それらの槍は、その場所に雷が落ちた証拠でもありました。そして雷が落ちやすい場所も分かりました。サンダーボルトがたくさん埋まっている場所があるからです。

しかし、サンダーボルトは雷と共に空から降ってきた槍ではけっしてありません、その槍はベレムナイトの化石だったのです。

~ ベレムナイト ~


(軟体部やかぎ爪まで化石化したベレムナイト、
ベレムノテウシス, belemnotheutis)
"Fossils" Cyril Walker and David Ward より

ベレムナイトは恐竜と共に絶滅した現世のイカ (特にツツイカの仲間) によく似た姿の頭足類です。

現世のイカよりも先端がとんがった外套 (がいとう - 体の部分) をしていますが、その生態はほとんど現世のイカと変わりなかったと考えられています。大きな目、オウムのようなクチバシを持ち、墨を吐きました。腕には多数のかぎ爪がついていたことも分かっています。

イカやタコといった頭足類は化石になることが希です。外套の外側に殻を持たないため、死ぬと軟体部は腐敗してしまい、滅多なことでは化石にならないからです。

ベレムナイトも現世のイカと同様、体の外側に殻は持ちませんでしたが化石はたくさん残っています。どうしてでしょう?

現世のイカにもコウイカアオリイカの仲間は外套の中に比較的立派な殻 (軟甲) を持っていますが、ベレムナイトと姿の似ているツツイカの仲間の殻は透明で薄っぺらい棒状のものでとても貧弱です。


(ネオヒボリテスの化石 ,neohibolites)
"Fossils" Cyril Walker and David Ward より

しかし、ベレムナイトの外套の中にはグラディウス (gladius)、つまり「短剣」などとも呼ばれることのある、とても立派な殻が入っていました。

この殻が化石化しやすいため、ベレムナイトの化石はイカと違い多数発掘されているのです。

前述の通り、ベレムナイトの化石は、その槍のような、もしくは短剣のような形状が人々の想像力をかき立て、雷と関連づけられました。

その他にも、中世の人々は、ゴーストのキャンドル (ghostly candles)」とかワイトのキャンドル (wight candles)」悪魔の指 (Devil's finger)」聖ペテロの指 (St Peter's fingers)」などと呼ぶことがありました。

ワイトとは、妖精もしくはそれに準ずる架空の生物で、ベレムナイトの化石が密集している場所は、ワイトが宴 (うたげ) を開いた跡だと考えたのです。

また、スコットランドでは民間療法として、ベレムナイトの化石を煎じて飲めば腹痛が治る、毒ヘビの解毒剤になる (snakestone)、馬の寄生虫に効くなどといわれていた時期もありました。

~ メガテウシス・ギガンティア ~


(巨大直角貝 カメロケラス [cameroceras
体長10~11メートル)

今まで知られている最大のべレムナイトは、ヨーロッパのジュラ紀の地層から発見されたメガテウシス・ギガンティア (Megateuthis gigantea) の化石です。

発見された化石の大きさは18インチ (≒46センチ) で、腕を含めた体長は3~4メートルと推測されています。

ちなみに、メガテウシスとは、メガ (mega) は「巨大」、テウシス (teuthis) は「イカ」という意味ですから、属名は「巨大なイカ」を意味します。



直角貝アンモナイトの大きさを考えると、もっと大きなべレムナイトが存在しても不思議ではありませんが、現時点ではこの種が最大と考えられています。

体長3~4メートルとはかなり大きなイカ (現世のイカとは異なりますが) といえますが、この時代には巨大海生爬虫類がてんこ盛りの海ですから、べレムナイトもイクチオサウルスをはじめ、食べられまくっていたようです。



ベレムナイトの殻は大きく3つに分けることが出来ます。先端の尖っている部分から順に「鞘 (guard or rostram)」、「房錘 (phragmocone)」、「前甲 (proostracum)」と呼ばれ、化石になりやすいのは圧倒的に「鞘」の部分です。

メガテウシス・ギガンティアは特別大きなベレムナイトで、ふつうのベレムナイトは体長が数十センチ程度です。ですから、通常発見される鞘の大きさは数センチ程度にとどまります。

その程度の大きさでも雷や悪魔、妖精などに関連づけられて考えられたベレムナイトの化石、もし中世にメガテウシス・ギガンティアの化石が発見されていたら当時の人々はいったい何を想像したことでしょう。

<参考文献>
● "Aquagenesis, The Origin and Evolution of Life in the Sea" by Richard Ellis
● "Fossils" by Cyril Walker and David Ward

<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-701.html

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コメント
この記事へのコメント
サンダーボルトから最後の殻まで楽しかったです。おとぎ話みたいで。
2009/01/27(火) 09:02:50 | URL | ラル #-[ 編集]
>ラルさん
はは、おとぎ話 (民話) のエピソードをメインにしてみました。
2009/01/27(火) 10:52:47 | URL | ナム #-[ 編集]
はじめまして 
楽しませてもらいました!

サンダーボルトの証拠、確かにそう思ってしまっても仕方がないですね
あんなものが地中から出てくるんですから(しかもかなり鋭い!)

また、見に来ます^^
2009/02/02(月) 16:59:22 | URL | Music Spyder #Tzwnz1rc[ 編集]
Re: タイトルなし
はじめまして、Music Spyderさん

返信遅れてごめんなさい、風邪を引いて熱を出して寝込んでました。

これからもよろしくお願いしま~す!
2009/02/05(木) 19:43:36 | URL | ナム #-[ 編集]
イカですか…。
砂漠のような土壌に落雷した跡からは、フルグライトと呼ばれる根っこのような形をした緑色のガラス塊が出るそうです。
落雷で解けたガラス質が纏まって固まるためこのようなモノが出来るとのこと。
2009/03/31(火) 01:31:22 | URL | A10 #NneUd/oM[ 編集]
>A10さん
フルグライトっていうんですかー、こちらもかなり神秘的ですね。中は空洞なんですね、不思議不思議。
2009/03/31(火) 18:15:35 | URL | ナム #-[ 編集]
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