■巨鳥を狩った巨鳥 ~ ハースト・イーグル■
■Haast's Eagle (Harpagornis moorei)■
(ハースト・イーグルの動画
※ 画像をクリックするとYouTubeに飛びます)
~ ハースト・イーグル ~
ハースト・イーグルはニュージーランドに生息していた翼開長3メートルの巨大なワシです。
発見者である、ドイツの地質学者、ユリウス・フォン・ハースト (Julius von Haast) にちなんでこの名があります。
和名は学名 (Harpagornis) をそのまま読んでハルパゴルニスワシといいます。
巨鳥といえば、巨鳥の代名詞的存在である ジャイアント・モア が同じくニュージーランドに生息していたことは有名です。
(成人男性の2倍以上の背丈を持つジャイアント・モア)
ジャイアント・モアは、体重ではマダガスカルの巨鳥、エピオルニス に負けますが、史上もっとも背の高い鳥でした。
大型のものは頭までの高さが3.5メートルを超え、体重も250キロに達しました。
この体重ですから空を飛ぶことはもちろん出来ませんが、これだけ背が高く重い鳥を襲える生物は皆無であり、草食とはいえ、ニュージーランド最強の生き物のひとつでした。
しかし、この巨鳥を狩っていた鳥こそ、今回の主役、ハースト・イーグルです。
~ 最大と最小に ~
(人間を上空から襲うハースト・イーグル)
ハースト・イーグルのモア狩りの話をする前に、サイエンス・デイリー (Science Daily) さんのところで、ハースト・イーグルの興味深い話が載っているので、まずはそちらを紹介します。
現世のタスマニア最大の猛禽はオナガイヌワシ (Wedge-tailed Eagle) です。
ハースト・イーグルのように自分よりも体の大きいカンガルーを襲って食べる、といったようなことはしませんが、翼開長が2.5メートルを超す巨大なワシです。
かつてニュージーランドに生息したハースト・イーグルが現世の巨大ワシ、オナガイヌワシと何らかの関係があると考えるのは自然なことです。
それが証明されれば、オナガイヌワシの生態からハースト・イーグルの生態も分かるかもしれません。
ところが、人類学者、マイケル・バンス (Michael Bunce) が、ハースト・イーグルのDNA分析を行ったところ、ハースト・イーグルはオナガイヌワシではなくアカヒメクマタカと近い関係にあることが分かりました。
アカヒメクマタカは英名がリトル・イーグル (Little Eagle) ということからも分かるとおり、とても小柄なワシです。
この現世最小の部類に入るワシと史上最大のワシは、共通の小柄なワシの先祖をもち、そこから枝分かれしたものと考えられるのです。
オーストラリアにとどまったものは小さなワシのままであり、ニュージーランドに渡ったワシはジャイアント・モアの存在もあって史上最大のワシ、ハースト・イーグルに進化しました。
~ モア狩り ~
(かつてマオリ族が儀式にとばした鳥の形の凧は
ハースト・イーグルを模したものだといわれています)
ハースト・イーグルは大型のもので翼開長が3メートルもありましたが、ジャイアント・モアと異なり空を飛べる鳥ですから体重には制限があります。
メスがオスよりも一回り大きく、現在考えられている空を飛べる生物の最大体重に近い13~15キロほどもあったと考えられています。
確かに空を飛べる鳥としては非常に重いのですが、モアはその体重の15~20倍、軽く200キロを超すことを考えるととても太刀打ちできそうにありません。
しかし、ハースト・イーグルはジャイアント・モアを狩っていました。どうやっていたのでしょう?
リチャード・ホールダウェイ博士 (Dr. Richard Holdaway) によると、モアの骨に残された傷跡から推測して、ハースト・イーグルは上空からジャイアント・モアの首、そして頭部へ襲いかかり、その鋭いかぎ爪で骨を砕いたのではないかと述べています。
そのまるでトラのような強力なかぎ爪は、モアの頭蓋骨を簡単に握りつぶしたというのです。
ジャイアント・モアのその圧倒的な体躯、そして強靱な足は、ニュージーランドのいかなる野生動物も寄せ付けませんでしたが、反面、最大の武器である足を使うことが出来ない上空からの攻撃には、意外にもろいものだったのかもしれません。
ニュージーランド最強のハースト・イーグルでしたが、人類がモア狩りを始め、その数が減少すると、基本的にモア専門だったハースト・イーグルはモアと共に数を減らし、地球上から姿を消してしまいました。
~ 人間狩り? ~
(人間を掴んで飛ぶハースト・イーグル)
ハースト・イーグルの主食はジャイアント・モアだったといわれていますが、希に人類にも襲って食べていたといわれています。
とはいっても、これは本当の話かどうかは分かりません、マオリ族の伝承にあるのです。
マオリ族がテ・ポウアカイ (Te Pouakai) もしくはテ・ホキオイ (Te Hokioi) と呼ぶ山のてっぺんや空に住んでいるといわれる巨鳥の伝承が先祖代々伝えられています。
この伝説の巨鳥こそ、先祖が見たハースト・イーグルを指しているものと考えられています。
この巨鳥は、子供や女性はもちろん、成人男性であっても襲いかかり、空高く運び去ったといいます。ハースト・イーグルは人類を襲い、その肉を貪ったとものと信じられているのです。
しかし、空を飛べる鳥としては格段に重い体重15キロのハースト・イーグルといえど、50キロ以上もある人間を抱え空に舞い上がることは絶対に不可能です。それ故、これは少なからず誇張・脚色された話であることが分かります。
とはいえ、物理的に人間を殺傷することは可能ですから、人類を襲ったという可能性は否定できません。
しかし、もしこれが実話だとしても、マオリ族がかれらを恨むのは筋違いといえます。マオリ族によるジャイアント・モアの乱獲は、ハースト・イーグルに慢性的な食料不足を押しつけました。
食うに困ったハースト・イーグルは、ジャイアント・モアのように2本の足で歩く人類を、仕方なしに襲っていただけだったのかもしれないのですから。
<参考サイト>
● New Zealand Birds
● Science Daily
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-696.html
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その鳥を撮影した映像が存在しますが、生い茂った木々の中で、比較するものがないために結論がでていないというものです。
あのでっかいジャイアント・モアを狩るなんて!一羽は空、一羽は大地、激しい争いだったとしたら、恐竜の戦いに負けないぐらい迫力があったんじゃないかなと思うんです。
そういえば、サイト内人気ページランキングにも、巨大鳥類の記事がけっこう入ってますね!
ところで、そうですね、上位には数が少ない巨鳥系が安定して居座ってますね。たぶん目次でアルゲンタビスが上の方にあるから、そこから関連項目で巨鳥系のアクセスが多いのかな~なんて思ってますが、単に巨鳥系が人気あるだけかもしれません。