■50億羽が絶滅 ~ リョコウバト■
■Passenger Pigeon■
~ ロック鳥 ~
千夜一夜物語 (アラビアンナイト) のシンドバッドの物語には巨大な鳥、ロック鳥が登場します。
ロック鳥は大きいだけでなく、ゾウをさらっていくほどの怪力を秘めています。
ゾウを抱えて空高く舞い上がったロック鳥は、そのゾウを空中で放ち、地面に叩き付けて殺したといわれています。
ゾウにとって災難この上ないことですが、これはロック鳥がいかに巨大で怪力であったかを示すエピソードです。
実際のところ、ロック鳥のモデルになった鳥は存在するかもしれませんが、ロック鳥自体は存在しません。
地球に棲息する限り、それほど巨大な鳥は体重と筋肉の関係から空を飛ぶことは不可能であり、また5トンもあるゾウを持ち上げることもできません。
さて、このロック鳥、物語の中だけにしろ、その大きさがすさまじいことは想像に難くありません。
ロック鳥が空を舞えば、その巨体が落とす影は昼間でもまるで夜のように暗くするといわれています。
少々オーバーな表現ですが、実在した鳥の中にも、昼間の空を暗くした鳥が存在しました。リョコウバトです。
~ リョコウバト ~
今回は、絶滅した鳥としては ジャイアント・モア と同レベルに有名かと思われるリョコウバトを見ていきます。
リョコウバトはかつて北米大陸に存在したハトの仲間です。
ハトとしてはわりと大柄で体長は40センチもありましたが、ロック鳥のように太陽を隠すほどの大きさではありません。
かれらは想像を絶するほどの大群で群れを形成し、その群れが通り過ぎるときの空は、鳥類学者ジョン・ジェームズ・オーデュボンの言葉を借りれば「真昼の太陽は日食のように曇っていた」ほどだったといいます。
「旅行鳩」という和名は、英名の "Passenger pigeon"を直訳したものです。名前に「旅行」という言葉が入っていることからも分かるとおり、渡りをするハトで、春は北へ、冬は南へと大群で移動しました。
絶滅した (させた) という事実から、感傷的な意味合いも込められている可能性はありますが、「もっとも美しい鳩」であったともいわれています。
他の鳥類がそうであるように、オスの方が派手な体色をしており、特に鮮やかに染まったオレンジ色の胸部は目を見張るものでした。
しかし、一部の鳥類学者をのぞけば、このハトの容姿に興味を抱くものは皆無だったといえます。
それはあまりにこのハトの数が多すぎたことにあります。ヨーロッパの移民たちが北米大陸に渡った頃、信じがたいことに、このハトの数は50億羽もいたといわれているからです。
(ムクドリの群れの動画)
50億という数がどれぐらい正確なものかは分かりませんが、オーデュボンにいたっては1兆羽以上とも見積もりました。
さすがに1兆羽はオーバーな気がしますが、それほどまでに夥 (おびただ) しい数のリョコウバトが棲息していたのは確かです。
日食のように、太陽に影を差したリョコウバトの群れは、一説には300マイル (約500キロ) の長さを誇ったとも言われています。
しかし、この数がリョコウバトにとって仇となります。
オーストラリアに渡ったヨーロッパの移民たちがオーストラリアのあらゆる野生動物に対し未曾有の大量虐殺を繰り広げたのと同様、北米に渡った移民たちはリョコウバトの虐殺をはじめます。
リョコウバトは数が多く、いくら殺しても平気だろう、移民たちはそう考えたのです。リョコウバトは渡りをするため筋肉がよく発達しており、非常に美味であったと言われています。
折り重なるように木の枝に止まる無数のリョコウバトを見つけるや、移民たちは銃を向け、ときには棒で殴り殺し、群れを根こそぎ狩りました。
あまりに殺しすぎたため、持って帰ることができず、食事兼掃除係として家畜の豚をその場に連れてきて放ったという逸話もあるほどです。
しかしリョコウバトは数は多かったものの、非常に繁殖力の弱い鳥であることに移民たち気付いていませんでした。
50億羽が絶滅 ~ リョコウバト Part2 に続く
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数が生息する種は、生態系の仕組みとして
狩られる側に位置するわけだ、いくら繁殖力が弱いといっても
並以上の繁殖力を持っていたはず
繁殖力がなかったらそもそもここまで増えない
もっともらしい説のようだが
そこそこの数がいたものを駆逐してしまっただけで
記載されている数はいなかったのが真実であろう
なにをもって「並以上の繁殖力」というのかはわからんけど、
一年に一度の繁殖期ということは、一年で2羽いて1羽増える計算。大体人間と同じ。
でも人間と比べようもなく野生生物の生存率は低いでしょうね。
その鳥に対して1回の狩りで何千何万という数を100年近く繰り返せば、
人間でも絶滅するでしょう。