■ライオンゴロシ ~ 悪魔のかぎ爪 (デビルズ・クロウ)■
■Harpagophytum procumbens (Devil's claw)■
(ディスカバリー・チャンネル作成の仮想動物対決番組
アニマル・フェイス・オフ (日本では「猛獣大決戦」)
シベリアン・タイガー vs ライオン
※ 画像をクリックするとYouTubeに飛びます)
~ 最強動物 ~
1:1で戦った場合、陸棲の動物で一番強いのはなんでしょう?
一般的には肉食系の動物、ライオンやトラ、クマそしてワニなどが候補に挙がりますが、体の大きさからゾウやサイ、カバなどのほうが強い、という意見もあります。
成獣同士といえど動物によって体の大きさも体重もまったく異なりますから、一概にどの動物が強いとは決めかねます。
ちなみに、ディスカバリー・チャンネルの企画した仮想動物対決、猛獣大決戦 (アニマル・フェイスオフ) では、陸棲動物でゾウがナンバー1に、肉食哺乳類限定ではトラを抑えライオンがナンバー1に選ばれています。
1:1ではライオンよりトラの方が強そうな気もしますが、百獣の王と形容されるライオンが、もっとも強い動物の一つであることに異存はないでしょう。
しかし、その百獣の王を殺すという「ライオンゴロシ」なる名を持つ生物が存在します。
~ ライオンより強い? ~
(ライオンゴロシ)
一般的にあまり知名度が高いとは言いにくい「ライオンゴロシ」
それだけ強くどう猛な生き物なら、もっとテレビなどでも露出して良いはずですが、どういうわけかほとんどの人はその名前さえ聞いたことがありません。
実はライオンゴロシとは動物ではなく植物に付けられた名前です。
植物がライオンを狩るのでしょうか?「ライオンゴロシ」なる名前はハエトリソウのように、とても能動的な印象を与えます。つまりライオンを自ら狩りそうな名前です。
(カエルも食べちゃうハエトリソウの動画
※ 画像をクリックするとYouTubeに飛びます)
しかし、ハエトリソウのようにライオンをパクリと挟んだり、ウツボカズラのようにライオンを丸ごと溺死させるような植物が存在するとは思えません。
となると、残るは毒殺です。ライオンをおびき寄せ、猛毒で仕留めるのでしょうか?しかし、これも正しくありません。
一般的に、ライオンゴロシは次のような植物であるといわれています。
~ ライオン狩り ~
ライオンゴロシは発芽すると、地表近くに逆さに曲がった固い棘 (とげ) のある果実を実らせます。
何の気なしにこの植物の近くと通った動物は、この植物の棘が足に刺さってしまうことがあります。ライオンとて例外ではありません。
固い棘は歩くたびに足に深く刺さっていきます。痛みに耐えかねたライオンはこの棘を抜こうと口で引っ張りますが、このとき、口に刺さってしまう場合があります。
口に刺さったライオンゴロシの棘は抜くことができず、ライオンの口を化膿させていきます。
口の痛みに耐えかね、のたうち回ろうものなら、その付近にある他のライオンゴロシの棘付き果実が体中に刺さります。
日に日に傷はひどくなり、口の痛みに食物を取ることもままならなくなっていくのです。
ついに飢えとのどの渇きによりライオンは命を落とすと、口内を始め、体中に刺さっていたライオンゴロシの実から種がこぼれ落ち、大地に染み渡ったライオンの栄養分を元に、新しいライオンゴロシがその場に生まれるといいます。
~ ライオンゴロシとは? ~
和名をライオンゴロシ (ライオン殺し)、英名をデビルズ・クロー (devil's claw, 「悪魔のかぎ爪」) といい、いずれも名前だけは物騒な雰囲気を醸し出しています。
学名はハルパゴフィタム (ハルパゴフィツム)・プロクムベンス (Harpagophytum procumbens) といい、「逆さに湾曲した巨大な棘を持つ植物」といったような意味だそうです。
ライオンゴロシは、カラハリ砂漠がまたがる南アフリカ共和国、ナミビア、ボツワナに自生する植物です。
ライオンゴロシという和名もすごいですが、実の形もただ者ではない雰囲気を醸 (かも) し出しており、「木の蜘蛛 (wood spider)」などと呼ばれることもあるようです。
ちょっと話がそれますが、英名の「デビルズ・クロー」はアメリカの他の植物、プロボスシデア・ルイジアニカ (Proboscidea louisianica) の名前にも使われています。
この植物の姿は、まさにデビルズ・クロー (「悪魔のかぎ爪」) であり、種の入った果実部分には、「悪魔のかぎ爪」を思わせるフック状の長い「爪」が2つ付いています。
(デビルズ・クロー 四肢動物の足に引っかかります)
このフック状の爪は、大型の四肢動物の足に大変フィットしており、たまたま踏んづけてしまった動物の足にブレスレットさながら引っかかります。
あとは動物が走ったり毛繕いをしている際に足から外れるのを待つだけです。大型の四肢動物は行動範囲も広いため、労せずして遠くまで種を運んでもらうことができます。
~ ライオンを殺すか? ~
(ライオンゴロシの地下茎)
ライオンゴロシに話を戻しましょう。
この「ライオンを殺す」という「伝説」ですが、どの本でも書き方は違えど内容はほとんど同じ、これは元となった文献が極端に少ない (1つ?) ときに見られる傾向です。
クマムシ の120年間不死身 (仮死状態) 伝説も似たような傾向があります。
和名が「ライオンゴロシ」ということもあり、日本では必ずライオンをも死に追いやる逸話が一緒に紹介されますが、海外ではそのような紹介はあまり、というかまったく見たことがありません。
これほど興味を引く特徴 (ライオンを餓死させて栄養分を得る) が海外でまったく紹介されていないとは不自然な気がします。
この逸話には「実際にあった話である」と添えられている場合もありますが、日本限定 (?) の逸話ということからも、少なくともこのようなことは非常にまれな例であることは間違いありません。おそらく都市伝説ではないかと思います。
さて、このライオンゴロシ、根の部分 (地下茎) がお芋のようになります。その根の成分には関節炎等の痛みを和らげる鎮痛効果や血圧を下げる働きがあると考えられており、物騒な名前とは裏腹に、その効果が期待されている植物でもあります。
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-672.html
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子供の頃に原っぱで遊んでて足に傷がつく草を思い出しました。
そう言えば今日何気にテレビを見ていたらゴブリンシャークを捕まえる!なんて企画をやってました。
ラブカも網に掛かったので思わず見入ってしまいました(笑)
正宗 厳敬【まさむね げんけい】著、1956年、『植物地理学新考』、北隆館
です。
この本の中に、ライオンゴロシの簡素な説明があります。そこに、
『かつて、ライオンの口にこの果実がしっかりと取り付いたために、その獅子は餓死したことが報告されている』
とあります。
この本自体は、まじめで、落ち着いた語り口です。
けれども、「植物がライオンを殺す」という報告が、あまりに印象深いため、「ライオンを栄養にする植物がいる」という伝説が、一人歩きしたのではないでしょうか。
あーなんか見てなかったですが、ゴブリンシャーク、テレビでやってたみたいですね、さっきアクセスの検索ワードで気付きました。ラブカもかかったんだ~見たかったなぁ
相変わらず博識の松沢さん、その本は読んでないですが、元になっている可能性が高いですね。
ドラマチックな表現になっていないところを見ると、その本を元に、他の方が大げさに描いて有名になったのでは?という気がします。ちょうどM. ヴェシュテンヘーファーがアクア説 (この説の信憑性は別として) を提唱して、エレイン・モーガンで有名になったように。
勉強になりました。
ライオン等、大型の四肢動物を殺さないと、種の存続に関わる植物だとしたら、ずいぶんと大げさな感じがしますものね。
ただ、とても興味を引く逸話だし、和名になるほどのインパクトがあったのも確かですけどね。少ないながら実例があったのかもしれません。
とても痛々しい話しですね~;;
“ライオンゴロシ”という名前はインパクト抜群なので最初は驚きましたが、話しに筋が通っているので(化膿とか餓死とか…)ありえるな~と思っちゃいました。
名前からして、例えば「ライオンを切り裂いて殺す!!」というハンター的なメージがあるんですが、真逆で「じわじわとなぶり殺す」感じですよね。怖い。
直しました。どうもありがとうございます。
ライオンゴロシ、名前は凄いですが、王里さんの言うとおり、殺し方が真綿で首を絞めるような拷問的な殺し方。
確かにこの逸話はありそうな感じではありますが、そんなしょっちゅうしょっちゅう起こることだとライオンがいなくなっちゃいます。やはり偶然じゃないかな~と?
>「ゲーテうそつかない」
これは知らない(笑)
猛獣大決戦なんてディスカバリーでもやっているのですね。僕らが子供の頃、ワニブックスだったか、「猛獣もし戦わば」というムック本があったのを思い出しました。トラとライオンでは、「棲む所が違うから闘わない、でも1対1だったらトラが勝つだろう、ライオンは群れで餌を狩るから」という答えだった気がします。
ライオンゴロシ、死んだ(殺した?)動物を餌にするなんぞは冬虫夏草を思わせますね。
疑問なのは「命を落としたライオン」ってジャッカルなどの死肉っを餌にする動物に食べられてしまうのではないかしら? どうやってこういう進化を成し遂げたんでしょうね。
足にこの爪がささったライオンから爪を抜いてあげたら、ライオンの恩返しが待っている、なんて話が手塚治虫さんの作品にあったような気がします。
ちなみに、詳しく書かなかったんですが、死んだライオンはハゲタカやハイエナなどに食べられてしまい、食い散らかしが土中に染みこみ、それを栄養分としてライオンゴロシが育つ、みたいに書いてある本もあります。
で、手塚さんの本は愛に満ちあふれていますが、実際は食べられちゃうかな^^
発芽にすら到らなかったというのを本で読んだことがありますが、薬効があるとなると
このように栽培にてこずる植物は乱獲が懸念されますね。
ヒマがあったら遊びに行きたいんですけどね。
この棘のあるものは、草叢で服などにひっつくイガイガしたやつのああいう程度の大きさのものかと思っていたんですが、釣針とかそれ以上のサイズのものだったら、引っかかって取れなくなればライオンでも死んでしまうかもしれませんね。
ライオンゴロシの棘はさすがにでっかいんですが、そんなに刺さるものかな?っていうのが正直な感想です。
草むらで服にくっついてくる植物には、いろいろな種がありますね。
有名なところでは、オナモミでしょうか? 「オナモミ 果実」で検索すると、画像が見つかります。
草むらを通ったりすると全身がバカだらけになってしまうんですね。
バナナワニ園には行きたいんですけどね~、バナナ好きなので、もとい、ワニを見たいので。
その地方の方言で、オナモミを「ばかなす」と呼ぶ、と聞いたことがあります。
オナモミ以外でも、服にくっつく植物のことを、「ばか」と呼ぶ地方が、多いみたいですね。
関東の方でもバカという表現をするんですねぇ。最近は以前ほどバカもあまり見なくなりましたねぇ。
ウルヴァリンと申します。早速なんですが、指摘で一番上の「ライオンVSシベリアンタイガー」なのですが、動画でライオンと対決しているのはベンガルトラですよ。
体色が違うのと戦ってる場所がインドなので間違いありません。
動画を見てみましたら、ウルヴァリンさん仰せの通り、動画はベンガルトラですっ!(笑) あとライオンもインドライオンでした。
ご指摘どうもありがとうございました。
今授業で植物について学習していてこれを見つけました
すごいですね!ありがとうございます