■江戸川の怪魚 ~ エディ■
■Eddie■
(江戸川にはこのピラルク級の怪魚の噂が)
~ 魚の毒 ~
「毒を持つ魚」を大きく分けると、オニダルマオコゼやアカエイなどのように「毒針」を持つタイプと、フグやアオブダイのように食べて中毒になるタイプの2つに分けることが出来ます。
「食べて毒」といえばやはり日本人にはフグが一番なじみ深いでしょう。
このフグの毒は、フグの学名 (Tetradontidae) と生物毒 (toxin) を掛け合わせてテトロドトキシン (tetrodotoxin, TTX) と名付けられ、日本語で「フグ毒」と呼ばれます。
実際には、フグ以外の生物 (ex. スベスベマンジュウガニ、ヒョウモンダコ) もテトロドトキシンを持っていることが知られており、フグ特有の毒ではありません。
ある海外の科学系の本で、日本人はフグが好きで、死ぬ危険性を顧みずに毎年200人以上が中毒死している、なる記述を見たことがあります。
「日本人はフグを食べるためなら死んでも良い」みたいなニュアンスで受け取ることもでき、どんだけ日本人は食い意地はってんだよ、といった感じです。が、実際にはそんなに死者は出ていません。
フグ毒による死者が3桁だったのは1960年代以前の話で、1980年以降は2桁の死者が出ることも希です。ここ20年は毎年数名程度です。いったいいつの資料を見て本を書いていたんでしょう。
~ フグの次は? ~
さて、フグによる中毒死が多いことは有名ですが、その次に中毒の多い魚はなんでしょう?
意外なことに、フグの次に中毒死の多い魚はコイです。そしてこのコイによる中毒死のほぼすべては中国で発生しています。
問題の魚はソウギョ、アオウオ、ハクレン、コクレン、いわゆる「中国四大家魚」と呼ばれるコイ科の淡水魚たちです。
この4種、きっちりと住み分けが出来ており、同じ川や沼に同時に生息することが出来ることで有名です。
ソウギョは川岸に近いところに棲み草を食べます。アオウオは水底に棲み主に貝類を食べます。ハクレンは上層で植物性プランクトンを、コクレンは中層で動物性プランクトンを食べます。
中国ではこの「中国四大家魚」を珍重しており、これらの魚の「胆のう」の薬効も古くから信じられているようです。
薬効はどれほどのものかは別として、四大家魚の大型の個体 (20キロ以上) には、特に胆のうの毒が強いことが知られており、多くの死者を出しています。
中毒死者が多いことは、コイ (科の淡水魚) がフグの次に毒が強いことを意味しているわけではなく、中国で消費される量が多いことに関係しています。
この中国四大家魚のひとつ、アオウオは日本のUMA、「江戸川のエディ」に深く関係しています。
~ 江戸川の怪魚 "エディ" ~
「江戸川にエディと呼ばれる巨大魚が棲んでいるらしい」
最近では全く聞かなくなった「江戸川のエディ」、どこにいってしまったのでしょうか。エディの体長は2メートルを超すともいわれています。
そんな巨大な魚が都内の川を本当に泳いでいるのでしょうか?
しかし、このエディは完全に実在します。
そして、このエディの正体は、先に触れた「中国四大家魚」のひとつ、アオウオの可能性が高い、といわれています。
実はこの「江戸川のエディ」という呼び名、もともとは「江戸川で釣れる (巨大な) アオウオ」に付けられた愛称で、「アオウオの可能性が高い」のではなく「アオウオそのもの」を指していたものです。
「江戸川のエディ」という呼称は釣り人たちにすこぶる評判が悪くまったく普及しなかったために、いつしかアオウオを指すことが忘れ去られ、「江戸川のエディ=巨大魚」との認識になり、ついにはUMAとなってしまいました。
つまり「江戸川のエディはアオウオの可能性が高い」のではなく「巨大なアオウオ以外、江戸川のエディとは呼べない」ともいえます。
ということで、江戸川のエディはUMA (未確認生物) ではありません。
しかし、都内の川に巨大魚が棲息するということに疑いはなく、江戸川のエディの魅力が損なわれるものではありません。
~ アオウオ ~
(アオウオ 「日本の魚 淡水編」より)
アオウオはソウギョと見た目がとても似ており、ウロコが大きく、小型のものはコイをほっそりさせたような体型をしています。
四大家魚はどれもみな1メートルを軽々と超すほど大きくなる魚ですが、アオウオもかなりの大きさになります。
「原色日本淡水魚類図鑑」によれば、生まれて7年間は1年で約10センチずつとハイペースで成長し、その後、成長するスピードは落ちていくようです。
1.6~1.8メートルサイズの巨大なアオウオが実際釣れていますが、2メート以上になるかはちょっと分かりません。
アオウオがもし2メートル以上に育つと仮定すると、成長スピードは上記のような感じですから、最低でも20年、実際は25年、30年以上といった恐ろしく長い期間を必要とするでしょう。
コイの寿命は20年、30年、50年など諸説がありますが、210年という記録 (参考文献「川と湖の魚」より) もあるそうなので、同じコイ科で姿も似ているアオウオなら、中にはすごく長寿なのもいるかもしれません。
江戸川に棲息するアオウオの数は極めて少なく、まして1メートルを超す大物は滅多に釣れるものではありません。
江戸川のエディの正体が巨大なアオウオと分かっていても、「2メートル近いアオウオ」を捕獲できる確率はUMAレベルといえます。
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-636.html
↓気に入って頂いた方はクリックして頂けると嬉しいです
人気 blog ランキング でオカルト・ホラーサイトを探す
>> FC2 ブログランキング (オカルト・ホラー)
>> 面白サイトランキング
(関連)
■ 巨大生物リスト
■ 不思議な生物リスト
■ 利根川の巨大魚 ~ グレーバック
■ 大鳥池のタキタロウ
■ 高浪の池のナミタロウ
■ 巨大魚 ~ ナイルパーチ
■ 巨大魚 ~ アリゲーターガー
■ 巨大魚 ~ ターポン
■ 真・毒ガニ ~ スベスベマンジュウガニ
■ 超巨大リュウグウノツカイ
■ 3メートルの巨大カレイ ~ オヒョウ
■ 巨大鮫 ~ オンデンザメ
■ 巨大鮫 ~ カグラザメ
■ 巨大鮫 ~ ゴブリンシャーク
■ カスザメ ~ 海の司祭の正体か?
■ 絶滅巨大魚 ~ ダンクレオステウス
■ 巨大鮫 ~ メガロドン
■ 実在するのか?"超"巨大鮫パラヘリコプリオン
■ 絶滅巨大魚 ~ リードシクティス
■ 絶滅巨大魚 ~ シファクティヌス
■ 絶滅巨大魚 ~ ハイネリア
■ 生きた化石 ~ アフリカハイギョ
■ 生きた化石 ~ ポリプテルス
■ 生きた化石 ~ シーラカンス
■ 超巨大淡水エイ ~ ヒマンチュラ・チャオプラヤ
■ 深海の奇妙なギンザメ ~ テングギンザメ
■ 伝説の巨大ナマズ ~ スンガロ
■ 巨大ナマズ ~ ヨーロッパオオナマズ
■ 巨大ナマズ ~ メコンオオナマズ
■ 巨大ナマズ ~ ピライーバ
■ 巨大ゴイ ベンソン
■ 水棲UMAの誤認候補 ~ チョウザメ
■ ヘラチョウザメ
■ コンゴ川のタイガーフィッシュ
UMA一覧へ
トップページへ