■アメギーノの南米人類起源説■
■Ameghino Ape Theory■
~ 郷土自慢 ~
誰しも自分の生まれた地が、「特別な地」であって欲しいと思うものです。
自分の生まれる場所は選べませんが、自分の生まれた町に偉人や有名人がいたりするとなんだか嬉しいものです。
自分が生まれた町にそういった著名な人物がいなくても、自分が生まれた「国」にそういった人物がいると、世界の人々を前にしたとき、それはそれで誇らしく思ったりします。
著名な人物だけとは限りません。
世界的に有名な建造物であったり、自然であったりしても同様の感情が芽生えます。
自分の手柄でもなんでもないのですが、多くの人に見られる不思議な感情です。「郷土愛」とか「愛国心」とかいった感情のひとつともいえるでしょう。
~ 南米人類起源説 ~
そして自分の生まれた国が、「人類発祥の地」であって欲しいと願う人もいます。
世界中に住んでいる現在の人々の祖先が、自分の生まれた地、国から始まったと考えると、なんだか感慨深いものがあります。
もちろん、自分の生まれた地が人類発祥の地であっても、それはなんの手柄にもなりません、単なる偶然です。人類発祥の地に生まれたところで偉いわけでも、頭が良いわけでもなんでもありません。
現在、「人類発祥の地」はアフリカであることが分かっていますが、20世紀初頭、自分の生まれた大陸、南米を人類発祥の地と提唱した人物がいます。
アルゼンチン出身の古生物学者にして人類学者、フロレンティーノ・アメギーノ (フロレンティーノ・アメギノ, Florentino Ameghino) です。
~ 南米の獣人系UMA ~
(ビッグフットの足型(左)、現代人の足型(右))
ここで、話はちょっと逸れてUMA (未確認動物) の話をします。
北米大陸の獣人系UMA (類人猿の特徴を持つ未確認動物) といえば ビッグフット においてありません。
北米には類人猿が棲息していませんし、棲息していた形跡もありませんから、ビッグフットの正体は謎に包まれています。アジアから ギガントピテクス が渡ってきたもの、という苦しい説がかろうじて存在するぐらいです。
そしてそれは南米大陸にも当てはまります。ビッグフットに隠れあまり有名ではありませんが、南米にも獣人系のUMAは多数目撃されています。
「ド・ロワの類人猿 (de Loys' Ape)」 と呼ばれるモノス をはじめ、マピングアリやディディ、ウクなど、類人猿の特徴を持つUMAは目撃されているものの、南米にも類人猿は棲息していないですし、棲息した形跡もありません。
(モノス)
しかし、アメギーノの説によれば、南米こそがすべての霊長類の発祥の地であるとのことです。
アメギーノの説を信じるのであれば、正体不明のこれらのUMAたちは、「未発見の類人猿である」と力強く提唱することが出来るというものです。
~ アメギーノの化石コレクション ~
アメギーノは、南米の白亜紀の地層より出土した哺乳類化石、クレニアリテス (Clenialites) こそが全霊長類の祖先であると提唱しました。
その後、クレニアリテスはピテクリテス (Pitheculites) とホムンクリテス (Homunculites) に分岐します。
ピテクリテスはアフリカ大陸に渡り、ホムンクリテスは南米にとどまります。
南米にとどまったホムンクリテスは、エウディアスタスス (Eudiastasus)、アントロポプス (Anthropops)、ホムンクルス (Homunculus) に分岐します。
エウディアスタススはクモザルを含むオマキザルなどに、アントロポプスはテナガザルや類人猿に、ホムンクルスは人間の祖先になったと考えました。
ホムンクルスから、テトラプロトホモ (Tetraprothomo) → トリプロトホモ (Triprothomo) → ディプロトホモ (Diprothomo) → プロトホモ (Prothomo) へと進化していきます。
16世紀、錬金術師パラケルススが生み出したといわれる人口生命体、ホムンクルス の名を、化石に与えているのも興味深いところです。
~ 化石の検証 ~
前述の通り、アメギーノの説は、正体不明の獣人系UMAを説明する上でうってつけなのですが、当時としてもかなり突飛な説であったため、かれの説の源となっている化石をすべて検証されることになりました。
その結果たるや惨憺 (さんたん) たるものでした。
全霊長類の祖であるはずのクレニアリテス、そこから分岐したホムンクリテス、ピテクリテスは、霊長類とはまったく関係ない「小型哺乳類」であることが判明しました。
テトラプロトホモ、トリプロトホモ、ディプロトホモ、プロトホモの4つはすべて現代人の骨格が混ざっており、検証に耐えうるものではありませんでした。特にプロトホモは現代のネイティブ・アメリカンの骨そのものだったといいます。
エウディアスタスス、アントロポプス、ホムンクルスは唯一、霊長類の化石群でしたが、現在南米に棲息しているオマキザルの祖先の化石にすぎませんでした。
フロレンティーノ・アメギーノは非常に愛国心の強い人物であったに違いありません。
しかし、その強すぎる愛国心が判断力を狂わせてしまったともいえます。
こんな説を提唱するぐらいだから、昔よくいたマッド・サイエンティスト、もしくはトンデモ博士のたぐいかと誤解する人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
確かに彼の分類には間違いも多く見られるものの、かれによって発掘された膨大な化石コレクションは賞賛に値するものです。
(参考文献)
「世界動物発見史」 (ヘルベルト・ヴェント著)
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