■サバクカタツムリ■
■Desert snail (Sphicterochila boisseri)■
~ 超高温に耐えるカタツムリのはなし ~
(サバクカタツムリではありません)
水中から陸へと進出したものの、乾燥した環境をめっぽう苦手とする陸生巻貝 (カタツムリ) ですが、かれらの求める生活環境で、もっともやめた方が良さそうな場所といえばやはり砂漠ではないでしょうか。
照りつける太陽の日差しはあっという間に体温を上昇させ、体内の水分を、そして生命を奪い去ります。
カタツムリはもとより、他の多くの生物たちにとっても困難と思われる砂漠に棲息を決めたサバクカタツムリのおはなしです。
(イスラエルのネゲブ砂漠)
~ デザートホッパー ~
(デザートホッパー)
サバクカタツムリを見る前に、ちょっと寄り道をして、未来のカタツムリを見てみましょう。 フューチャー・イズ・ワイルド の2億年後の世界には、デザート・ホッパー (Desert hopper) なるカタツムリの子孫が登場します。
デザート・ホッパーは現生のカタツムリが進化したもので、体長は現生のアフリカマイマイと同レベルの30センチもあります。
(アフリカマイマイの動画
※ 画像をクリックするとYouTubeに飛びます)
跳躍できる腹足で素早く砂漠を移動できる姿に変貌したことにより、砂漠に広く点在する食物を探し求めることが可能となりました。
殻の直径は20センチもあるとのことで、こんな重たい殻を背負って跳躍するのですから消費するカロリーもすごそうです。
餌探しには特化した体を持つデザート・ホッパーですが、砂漠でもっとも過酷な気温に関してはどうでしょう。
どうやらデザートホッパーは暑い昼間は地面に潜っており、主に夜行性のようです。また、角質化した鱗状 (うろこじょう) の皮膚が水分消失を防いでいるようです。
(アフリカマイマイの動画
※ 画像をクリックするとYouTubeに飛びます)
それでは現生の砂漠に住むカタツムリはどうやって暑さをしのいでいるのでしょう?
~ サバクカタツムリ ~
イスラエル南部にあるネゲブ砂漠 (Negev Desert) には、砂漠で棲息するにはもっとも不都合そうに見える生き物のひとつ、カタツムリが棲息しています。
このカタツムリ (Sphicterochila boisseri, スフィクテロキラ・ボイッセリ?)、和名が分かりませんのでサバクカタツムリ (砂漠カタツムリ) と呼ぶことにします。
(サバクカタツムリの棲むネゲブ砂漠)
デザート・ホッパーのように飛び跳ねることもなければ、からだも大きくありません。もちろん、軟体部 (からだの部分) が鱗状に変化しているというわけでもありません。
元来、カタツムリはけっして活発な生き物ではなく、なにも砂漠に限ったことではなく、生存に適さない環境であれば殻に引きこもったままです。
くそ暑い日中にノコノコ出歩くのは自殺行為ですから、このサバクカタツムリといえどもそんなことはしません。とはいえ、地面に穴を掘るといった特技も持っていないようです。
殻に引きこもったままですが、正々堂々と太陽の光を浴び続けます。ふつうのカタツムリを砂漠に放置すれば、いくら殻に閉じこもっていようとも、体温が上昇し死んでしまいます。
しかしサバクカタツムリは死にません。砂漠の暑さを耐え抜く秘密を持っているからです。
~ 熱死しない秘密 ~
砂漠に適応したこのカタツムリとふつうのカタツムリの違いはどこでしょうか。
カタツムリは変温動物ですので、周りの気温に体温がもろに影響を受けます。恒温動物 (哺乳類や鳥類) のように体温を下げることは出来ませんから、いかに周りの温度に左右されないか工夫するのみです。
まず、殻にその秘密があるといいます。サバクカタツムリの殻の色は白くかつ非常に光沢質であり、太陽の熱を効率的に反射することが可能で、その反射率は95%にも及びます。
殻のすごさは分かりましたが、熱が伝わってくるのは直接浴びる太陽の熱だけではありません。砂漠の砂は太陽の熱を吸収し、気温 (43度) 以上の高さに熱せられます (65度)。
当然、軟体部の出入り口である殻の開口部がありますから、地表から、殻の開口部分を通して熱が入ってきます。
そこで、サバクカタツムリは軟体部分を殻の一番てっぺんに避難します。殻のてっぺんが一番暑くなりそうですが、前述の通り、反射率95%の殻が守ってくれるので平気です。
殻の上部に移動すると、殻の入り口と軟体部分の間に空間が出来ます。この一見何もない部分、この「空気の層」が断熱材として働き、地面から伝わる熱から軟体部を守ってくれるのだそうです。
ここまで頑張っても完全に熱をシャットダウンできるわけではありません。焼け付くような太陽が、徐々にカタツムリの体温を上昇させます。
そして、体温は50度にも達します。しかし、最高で50数度まで耐えられるこのカタツムリは、限界ギリギリの体温でなんとか持ちこたえます。
殻の反射率、軟体部の移動、砂漠で生きるための素晴らしい進化ですが、ふつうのカタツムリとサバクカタツムリの決定的な違いはこの50度という体温に耐え抜く体といえるでしょう。
(参考文献) 極限環境の生命 (D.A.ワートン 著)
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あんなにのろのろしてても案外丈夫なんですね~
それにしても砂漠蝸牛わなに食って生きてるんでしょうね?
それを更に水分に依存する軟体動物が、その耐久力を会得しているとなるとかなり凄いですね。
しかしこのカタツムリが、サソリなどのようにかつて海に生息し
環境に適応して砂漠のような場所に生活しているのか
厳しい環境だった場所に、あえて生活を移した、またはそうせざるを得なかったのか
その進化する過程も気になります。
海から直接砂漠に来たとは考えられないので、陸貝の状態から来たのでしょうか?
引きこもり。なかなかやりますな(^^)
ところで餌は何なんでしょうね?
やはり砂漠だけに多肉植物でしょうか。
それとて一面に生えている訳じゃなさそう
だし夜間は相当広範囲を移動するのかも。
高温耐性と言えば子供時分にニゴイか
ユゴイの類で高温の湯の中で生存できる
魚がいると聞いた覚えがあります。
イスラエルだったかなぁ、場所は・・・
どなたかご存じないでしょうか?
それでは~。
カタツムリと砂漠というかけ離れた存在が見事に合体しましたね。
でもなんでわざわざ砂漠に住んでるんでしょうね。
と、話がそれましたが、中東自体、砂漠が多いですよね。もともとはふつうのカタツムリだったと思いますが、中東が砂漠だらけということを考えると、気候の変化に取り残されて砂漠の環境に適応したんじゃないですかね?天敵があまり多そうには感じないので、砂漠に逃げ込んだようにはみえませんが、そこら辺はわかりません。
砂漠はふつうの生物にとって生息しづらい代わりに、ほとんど天敵がいないという利点がありますから、このカタツムリもそうだと思います。

このごろ忙しくてすいません
砂漠のカタツムリか~性転移できるやつらですよね。砂漠の環境でも子孫増やすんですかね~私外に出るだけで汗ダクです・・
いつもふと気づくとなんかいますよね。雨が降らないときってどこいるんですかね?
すいません質問ばっかで・・・
これからも応援します!!
カタツムリの気持ちがイマイチわからない・・・。
灼熱地獄に耐えてまで砂漠にこだわる
体も適応できるように進化する
砂漠にはそうまでしても暮らしていきたい
「何か」があるのか
はたまた「男のロマン」(意味不明)なのか?
ま、どっちでもないのが当たりだったりして(笑)
このカタツムリは雨が降らない時期、こうやって殻に閉じこもってひたすら暑さを耐えるようです。なので、炎天下にさらされた状態でじっとしているみたいです。休眠状態にあるらしいですけどね。
からだがちっちゃくて、防御する方法も子孫をめちゃくちゃ作る方法もうまくいかなかったんじゃないですかね。でぇ、誰もいない砂漠に行けばおそわれないぞーと。ふつー死にますけど、かれらはうまくいったみたい(笑)
乾期の間はひたすら寝ているみたいなので、活動している期間はふつうのカタツムリよりもさらに短いようですね。