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3メートルの巨大ヤスデ (アースロプレウラ)

■3メートルの巨大ヤスデ (アースロプレウラ)■
■Extinct Giant millipede (Arthropleura)■

〜 絶滅巨大ヤスデ 〜

 

666本の足を持つヤスデ」が80年ぶりに見つかったことですし、ついでといっては何ですが、今回はアースロプレウラ (アルトロプレウラ) を紹介したいと思います。

アースロプレウラは超特大のヤスデ、もしくはムカデのような姿をしていたと考えられている生物で、UMA (未確認生物) ではなく、とっくの昔に絶滅した古生物です。

このアースロプレウラが生息していたのは、巨大トンボでおなじみの メガネウラ など、巨大節足動物がてんこ盛りの石炭紀です。

そんな巨大節足動物の時代でもとりわけ大きかったのがこの巨大ヤスデ、アースロプレウラになります。

体長は驚きの2メートル、中には3メートルなどと見積もる研究者もいます。

一般的に、ヤスデはアーチ状のぷっくり膨らんだ体型、ムカデは地面に対して扁平な体型をしているのが特徴です。


(ヒラタヤスデの仲間?)

アースロプレウラは木の葉のような扁平な体型で復元されており、ムカデ的な印象を受けますが、現世のヒラタヤスデの仲間は扁平な体をしたヤスデで、アースロプレウラはむしろヒラタヤスデを基に復元されているように感じます。

現世に存在したら人間を襲って肉を食ってそうなすごい外見ですが、食性は草食と考えられており、こちらもヤスデ的な特徴です。

ムカデとヤスデの決定的な違いは足の生え方で、体節1つにつき1対2本の足が生えているのがムカデ、2対4本生えているのがヤスデとなります (ヤスデも頭部から3つ目までの体節はムカデと同じ1対2本です)。

で、ムカデとヤスデ、どちらなのかというと、アースロプレウラは厳密にはムカデやヤスデとは異なるグループに入るそうで、復元図によっては細長い三葉虫やワラジムシといった感じのものもあります。

巨大な三葉虫、パラドキシデス(アノマロカリス Part I参照)でさえ、大きなもので1メートル前後といわれていますから、アースロプレウラはその2倍もある驚異的な生き物です。さらに驚くのが、節足動物でこれだけの巨体でありながら、水中ではなく森で暮らしていたということです。


(アースロプレウラの足跡化石)

このアースロプレウラ、足跡化石も見つかっており、その足跡は電車のレールさながら、2本の線が平行に続いています。足跡の幅が40〜45センチ、深さが2センチメートルもあったということで、地面の固さや脚のとんがり具合も考慮しないといけませんが、かなりの重さがあったことは想像に難くありません。

〜 アースロプレウラ生存説? 〜


(体を持ち上げると軽く1メートルはあったかもしれません
BBC ウォーキング with モンスター〜前恐竜時代 巨大生物の誕生 より)

「アースロプレウラは滅んでいない!」なんて説は聞いたこともありませんが、アースロプレウラはどこか人里離れた森の中でひっそりと暮らしている可能性はないのでしょうか?

あの姿でひっそりと暮らすも何もあったもんじゃないですが、アマゾンの密林でばったり出くわしてもよさそうな気がします。なにせ神秘のアマゾンですし。

ちょっと見ていきましょう。

まず、節足動物ではありませんが、同じく細長〜い体型をしている生物といえば環形動物 (かんけいどうぶつ) のミミズを見ていきます。

ギネス記録の超巨大ミミズは、南アフリカ共和国の道端で発見された「ミクロカエトゥス・ラピ」(巨大ミミズの記事参照) ですが、体長はなんと6.6メートルもありました。

しかし、直径は通常のミミズよりもちょっとばかり太い2センチほどしかなかったといいます。

これは呼吸の問題により、ある一定以上の太さに成長することが出来ないからです。

ミミズのような呼吸系を持たない環形動物の最大直径は、本川達雄さんの「ゾウの時間 ネズミの時間」によれば、直径1.3センチということです。

〜 巨大ヤスデは存在するか? 〜


(巨大なトカゲと対峙するアースロプレウラ
BBC ウォーキング with モンスター〜前恐竜時代 巨大生物の誕生 より)

では昆虫やムカデなどの節足動物の呼吸はというと、これは体の表面にある気門と呼ばれる呼吸器官から酸素を取り込み、網の目のように張り巡らされた気管によって体中に酸素が運ばれます。

同じく「ゾウの時間 ネズミの時間」によれば、この気管の総延長は、体長の4乗に比例するといいます。つまり、体が大きくなると、どんどん気管の枝分かれが複雑になっていくことを意味します。

体長が2倍になると、体の体積は体長の3乗ですから8倍に、気管の総延長は16倍と気管の占める割合がどんどん増えていきます。

節足動物はクチクラを脱ぎ捨てる「脱皮」によって成長していきますが、気管もクチクラで出来ています。

ということは、気管も脱ぎ捨てなければならないのですが、なにせ体が大きくなるとどんどん気管が複雑になっていきますから、脱皮がおそろしく困難になって行きます。

そういうわけで陸生の節足動物はある程度までしか大きくなれないといわれています。

ただし、例外もあってナナフシの仲間とかムカデやヤスデのように細長い体型であれば体の中心部までの距離がそれほどでもありませんから、例外的に長くなることだけは出来ます。

ではアースロプレウラはというと、いくら扁平とはいえかなり無茶な大きさです、どんなトリックがあるのでしょう?

この謎については、石炭紀の酸素濃度が現在よりもはるかに高かったため、などと言われています。

酸素濃度が高いため、現在よりも酸素を効率よく体に届けることが出来るので、気管の占める割合も抑えられた、ということです。

酸素濃度が高かったとされる説は有力視されていますが、実際のところは分かりません。しかし、仮にそうだとすれば、アースロプレウラは現在の地球では生きてはいけない、つまりアマゾンに行こうとどこに行こうと会えないということになります。

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