■脚と肉のない鳥 (極楽鳥がUMAだった頃)■
■Raggiana birdofparadise■
~ 美しい天からの遣い ~
UMA (未確認生物) の中には「作られたUMA」というものが存在します。
もっとも有名なものは ジェニー・ハニバー かと思います。ジェニー・ハニバーはエイ、その中でも特にガンギエイに細工を施し、生前とは全く別の生き物に仕立て上げられたものです。
(確かにエイはそのままでも不思議な姿をしています)
その他にも、羽の生えたウサギのUMA、スクヴェイダー (スクベイダー) や空飛ぶハリネズミといえる、ティジー・ウィジー なども同様のUMAと考えていいでしょう。
~ ゴクラクチョウ ~
さて、極楽鳥とよばれる鳥がいます。極楽鳥とはフウチョウ (風鳥) のことで、英名、Raggiana bird-of-paradise の ”bird-of-paradise" を直訳したものです。今回の主役はその中でも特に美しいアカカザリフウチョウです。、
とても羽根が長く美しい鳥で、いかにも天から舞い降りてきたような姿をしています。しかし、このゴクラクチョウという名前は、「まるで天の遣いで舞い降りてきたような鳥に見えるから」ではなく、本当に「天の遣いで舞い降りてきた鳥」と信じられていたことに由来します。
航海技術の発達により、西洋の人々は世界中の見知らぬ動植物を知る機会が増えました。そして、ついにというべきでしょうか、はじめて極楽鳥に接する機会に恵まれました。
今から500年近くも前のことです、自然科学の発達は現在の比ではありませんし、はじめて見た鳥に、現在では考えもつかないような幻想を抱いても不思議ではありません。
とはいえ、極楽鳥は確かに美しい鳥ではありますが、いくら美しく、またその時代を考慮したとしても、「天界から来た生き物」と信じるのは少々オーバーな気がします。
実は、極楽鳥を「ただの美しい鳥」以上の幻想を、当時の西洋人に抱かせたのには理由があるのです。
~ 西洋人と極楽鳥 ~
西洋人がはじめて目にした極楽鳥は生きたものではありませんでした、つまり極楽鳥の「死体」でした。
しかもその極楽鳥は巧妙に細工を施されていました。その細工の精巧さは、少なくとも当時、完璧といえるものだったのです。
その極楽鳥には肉と脚がありませんでした。
西洋人はその細工された極楽鳥を見、肉がないことは極楽鳥が食物を摂らないから、脚がないのは地上に降りる必要がないから、そう解釈しました。
食物を摂取せず、かつ地上に降り立たない、それは、極楽鳥がふだん目にしている鳥たちとはまったく別次元の存在であることを意味しました。
つまり、極楽鳥はこの世のものではない、天からの遣いであると。その美しい羽も、極楽鳥の神秘さを強調したであろうことは想像に難くありません。
実在する鳥にも関わらず、この時代、西洋の人々にとって、極楽鳥はUMA的に認識されていました。当時、細工されたガンギエイが、海の怪物、ジェニー・ハニバーと認識されているのと同じことです。
(エイに細工を施せば、あっという間にUMA、ジェニーハニバーが完成します)
航海が盛んになるにつれ、極楽鳥に接する機会が増えた西洋の人々ですが、手にはいるのは加工された極楽鳥、つまり、肉と脚のないものばかりでした。
当然、本国の人が目にするのは加工された極楽鳥だけですから、本来の姿を知るよしもありません。
そんな中、当然ながら現地で「生きた極楽鳥」に接した西洋人も出てくることになります。
極楽鳥を目撃した西洋人は、美しい羽は持っていても、それは決して天からの遣いではないことに気付きます。
「生きた極楽鳥」を目撃した西洋人は本国に帰り、あの輸入されている極楽鳥は手の込んだ細工を施されただけであり、美しいだけでふつうの鳥たちと何ら変わりない、と人々に話しました。
しかし不思議なことに、これにて極楽鳥の伝説も終わり、とはならなかったのです。「生きた極楽鳥」の現物がないからです。「生きた極楽鳥」を目にしていない西洋人は逆にかれらが嘘をついているとさえ考えました。
うすうすは気付いていたかもしれません。もしかすると、極楽鳥の幻想を抱いたまま、ずっとだまされ続けてもいい、と思っていたのかもしれません。
~ ふつうの鳥になるまで ~
そんな中、時が経つにつれ、極楽鳥は天の遣いではなく、ふつうの鳥と同じではないか、という風潮が高まっていくことになります。
現地で生きた極楽鳥を目にした人が増えたことや、また自然科学の発達などが、その「肉と脚のない鳥」の伝説を徐々に崩していったといえるでしょう。
そしてついに西洋の人々が生きた極楽鳥と接する日がとうとうやってきました。
その日は、人々が描き続けた幻想が崩れ去った日であるとともに、美しい生きた極楽鳥をはじめて目にする感動的な日であったでしょう。
それは西洋人がはじめて極楽鳥と接してから、300年もの月日が過ぎたある日のことでした。
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