■Anomalocaris■

(DVD
アノマロカリス Part I からの続きです。
~ 胴と口の発見 ~
アノマロカリスの捕食肢は、その後もたくさん発見されましたが、依然として捕食肢自体が単独の独立した生物、エビのような生物として認識されたままでした。
しかしながら1900年代に入ると、現在のアノマロカリスの全体像を知るのに一歩近づく発見があります。今度はアノマロカリスの「胴」、そして「口」が発見されたのです。
アノマロカリスの捕食肢がそうであったように、アノマロカリスの胴や口もまた単独の独立した生物として認識されました。決して体の一部とは考えられなかったのです。
アノマロカリスの胴の部分はナマコの一種と考えられ「ラグガニア (Laggania)」と命名されました。
またアノマロカリスの口は円形で、4枚の大きな歯と28枚の小さな歯、合計32枚の歯がぐるりと口を囲むように並ぶ特殊なものでした。
当然、そんな口の生物など知られていませんでしたから、形が円形ということもあり、クラゲの一種と考えられ「ペユトイア (Peytoia)」と名付けられました。
(アノマロカリスの口の化石 クラゲの一種と考えられました)
(ペユトイアの復元図)
このようにバラバラに発見されたことが引き金となり、アノマロカリスの体は長い間、各部分がアノマロカリス (捕食肢)、ラグガニア (胴)、ペユトイア (口)が、それぞれ独立した生物として認識されていました。
~ 疑惑 ~
そんな中、イギリスの古生物学者ハリー・ウィッチントン (Harry Blackmore Whittington) をはじめ、何人かの古生物学者たちがこのアノマロカリス (実際のアノマロカリスの捕食肢だけの部分) という生物に疑問を持ち始めます。
アノマロカリスはいつも頭胸部が欠けており、化石が見つかっている割には消化管の形跡が見られません。他の生物でははっきりと消化管の形跡が確認できます。
クラゲのはずのペユトイアも傘の中央部に穴が開いているという大胆な構造で、しかも歯のようなものが中央部に密集しています。こちらもどうもクラゲっぽくありません。
ちなみに、アノマロカリスをエビの一種と考えられていた頃、これまたよく分かっていないトゥーゾイア (Tuzoia) という甲殻類の化石こそ欠けてしまったアノマロカリスの頭胸部ではないか?と考え、へんてこりんな生物として復元されています。
(100年ほど前、アノマロカリス+トゥーゾイアで復元された
奇妙なアノマロカリス)
さて、こういった疑問が噴出してくると、どうもアノマロカリス (と名付けられた捕食肢部分) はエビの胴体などではなく、何らかの巨大な生物の一部ではないか?と考えるようになりました。
1970年代後半、ハリー・ウィッチントンは、アイルランドの古生物学者デレク・ブリッグス (Derek E. G. Briggs) 等とともに、アノマロカリスの真の姿の究明に着手します。
ハリー・ウィッチントンたちの考えは間違っていませんでした。
紆余曲折を経て、ついにアノマロカリスの真の姿が浮かび上がったのです。それはアノマロカリスの触手が発見されて100年近くもたった1980年代のことでした。
~ パズルの完成 ~
エビ、クラゲ、ナマコと別々に認識されていた生物が1つになったとき、その姿は思いも寄らないほど巨大で、そして奇妙な姿をしていました。
アノマロカリスの全体像が分かり、アノマロカリスがこの時代、規格外の大きさを誇り、極めて強い生物であったことが分かりました。
エビの腹部と思われていたトゲのある大きな捕食肢は柔軟に動き、三葉虫などの獲物をがっちりと押さえつけ、32枚の強力な歯でかみ砕いて食べていたと考えられています。
しかし、このカンブリア紀、最強のアノマロカリスも後継子孫を残すことなく、地球上から消えてしまいました。
最近アイダホ州で発見されたフェアリー・シュリンプ (妖精エビ)) の仲間は、アノマロカリスのように両端のヒレを波打たせて水中を泳ぎます。
<参考文献>
● ワンダフル・ライフ (スティーヴン・ジェイ・グールド 著)
● 進化の大爆発 (大森昌衛 著)
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