■Heliophobius argenteocinereus■

カイコモグラ。
カイコだけを好んで食べるという謎のモグラで、養蚕業が盛んだった頃の日本ではよく見られたものの、戦後になって養蚕が徐々に衰退していくとその数を減らし現代では殆ど見られなくなったといいます。
カイコモグラはまるでカイコの繭から作られたシルク (絹) のような滑らかで美しい毛皮で全身が包まれているといいます。
しかし美しいのはその毛皮のみで、上を向いた鼻面は醜く、尾の先端は二股に分かれていました。
このカイコモグラ、立ち位置はUMAというより妖怪に近い存在です。
しかし「尾の先端が二股に分かれている」ことを除けば実在しても何ら不思議ではない生物といえます。

(image credit by Sharry Goldman (Wikipedia))
このカイコモグラを彷彿させる生物がいます、シルバーデバネズミ (Heliophobius argenteocinereus) です。
和洋折中した強烈な和名のシルバーデバネズミですが、これは英名のシルバリー・モール・ラット (Silvery mole-rat) から来ています。
「モール・ラット」は直訳するとモグラネズミですが、モール・ラットは和名でデバネズミというためシルバリー・モール・ラットは「シルバーのデバネズミ」になるというわけです。
そしてこのシルバーデバネズミはまたの名をシルキー・モール・ラット (Silky mole-rat) といいます。
直訳すれば「シルクのデバネズミ (モグラネズミ)」となり事実上「カイコモグラ」とほとんど同じ意味と言える英名を持ちます。
ただしモグラ科の生物ではありませんが。
実際、滑らかでシルクのような毛皮を持つことからこの名で呼ばれ、デバネズミの仲間は概ねブサカワ系なのでその特徴はまさにカイコモグラそのものです。
東アフリカを中心に生息する地中性のデバネズミで、日本でも有名なハダカデバネズミ (Heterocephalus glaber) と異なり真社会性は営まず、単独で生息します。
自然界にカイコは存在しませんからもちろんカイコを主食とはせず、植物の根を中心とする草食性のネズミです。
他にも純粋なモグラ (モグラ科) ではありませんが、アフリカ南部に生息するサバクキンモグラ (Eremitalpa granti) 等もシルキーな見た目でカイコモグラを彷彿とさせます。
※この記事は姉妹サイトの「くりぷと ~ 世界の奇妙な住人たち」に掲載のものと同一内容です。
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