■モノス (アメラントロポイデス・ロイシ)■
■Ameranthropoides loysi (de Loys' Ape)■
~ ド・ロワの猿人 ~
1920年、スイスの地質学者、フランソワ・ド・ロワ (or フランソワ・ド・ロイ, Francois De Loys) は、南米ベネズエラを石油調査中、ジャングルで思いもかけない生物に遭遇しました。
それは猿のようであり、人間のようでもある生物で、オスとメスの2匹がド・ロワ一行の前に立ちふさがりました。
謎の生物は侵入者たちを威嚇すべく、けたたましく鳴き叫び、身の危険を感じたド・ロワはかれらに向けてライフルを発砲しました。
ライフルの弾は一匹に命中し、その銃声に驚いたのか、もしくは仲間が撃たれたことに恐怖を感じたのか、もう一匹はジャングルの奥へと逃げていきました。
弾が命中したのはメスの方でした。ド・ロワの言葉を借りれば「メスがオスをかばって前に立ちふさがり撃たれた」ということです。
ジャングルを探検中のド・ロワたちに、この謎の猿人の死骸を担ぐ余裕はなかったため、石油缶に座らせ顎につっかえ棒をして写真を撮り、頭皮の一部をはぎ取って探検を続けました。
日本ではこの猿人 (獣人) をモノスと呼びますが、海外では発見者フランソワ・ド・ロワにちなんで「ド・ロワの類人猿 (ド・ロワズ・エイプ, de Loys' Ape)」と呼ぶのが一般的です。
~ ド・ロワの類人猿の再発見 ~
ド・ロワはこの類人猿が「ふつうではない」と直感していたようです。写真を撮ったり、頭骨を持ち歩いたことからもそれは分かります。
しかし、動物学は専門外であり、また、「ふつうではない」と思っても、それほどこの生物に対し興味を抱いていなかったことも確かだったようです。
ド・ロワは探索中に原住民に襲われた際、頭骨を破損してしまい持ち帰ることを諦めざるを得ませんでした。また帰国後もこの類人猿のことを特に口外しなかったといわれています。
「ド・ロワの類人猿」は、このまま忘れ去られる運命にあったといえます。しかし、ちょっとした偶然から、この類人猿の噂は世界に広まることになります。
写真が撮影されて10年近くの歳月が経過した1929年、ド・ロワの友人にして人類学者のフランス人、ジョルジュ・モンタドン (George Montandon) が、ド・ロワの南米旅行の写真を見ている際に、この「類人猿」を「発見」したのです。
~ 公表 ~
ド・ロワが気にはかけても大した興味を抱かなかったのは、南米に類人猿 (尾のない猿) が棲息していないという事実を知らなかったことにあるといいます。
モンタドンはド・ロワに詳細を聞き、この未知の類人猿に「アメラントロポイデス・ロイシ (Ameranthropoides loysi)」という学名を与え、世間に公表しました。
この世紀の大発見ともいえる「ド・ロワの類人猿」は、予想通り、世間から注目されることになります。
「南米にも類人猿が存在した」「ピテカントロプスが生存している可能性も考えられる」等々。
世間は色めき立ちます。
~ 嫌疑 ~
しかし、「ド・ロワの類人猿」には、モンタドンの論文発表時から疑いの目が向けられていたのも事実です。
それはただのクモザルではないのか?尻尾は切り取っただけじゃないのか?本当に身長が1.5メートルもあったのか?本当にベネズエラで撮影したのか?
見た目はクモザルそのものといった感じですが、ド・ロワの主張するこの類人猿の身長は1.5メートル、これはクモザルにしてはあまりに大きすぎます。
その大きさを客観的に測る方法はあるのか?という問いに、ド・ロワは写真撮影に使った石油缶を持ち出します。
この類人猿を座らせたのは一般的な石油缶であり、大きさは45センチメートル、この石油缶を元に類人猿の身長を割り出せば1.5メートルぐらいあることが分かるはず、というものです。
尻尾については?クモザルであれば長い尻尾があるはずです。モンタドンは、フランソワ・ド・ロワがこの類人猿に興味を大して抱いていなかったのだから、尻尾を切り取ったりするはずがないではないか、と擁護します。
これらの事実を信用するかしないかは、ド・ロワが類人猿のことをあまり知らず、またさして興味を抱いていなかった、ということを信用するか、しないかにかかっています。
興味がなければ、モンタドンの言うとおり、尻尾を切り取って撮影するはずもなければ、小さな石油缶を「一般的な石油缶」といったりするはずもなく、またこの類人猿のことを帰国後も口外しなかったという事実もすべて信用できます。
しかし計算ずくでこの写真を撮影していたらどうでしょうか?そして、南米の石油調査のアルバムに潜り込ませておき、モンタドンにアルバムを見せたとしたら、、、
~ フェイクか? ~
「10年ぐらい前に南米に石油調査に行ったんだけど、そのときのアルバムがあるんだ、見るかい?」
人類学者のモンタドンが、「南米の類人猿」に興味を抱かないはずがありません。必ず食いついてくるはず、この猿 (類人猿) はいったいなんなのか?と
「あ、その猿?ジャングルの中で襲ってきたんだ。怖くなってつい撃っちゃったんだけどね。何となく気になって写真に撮っておいたんだ」
尻尾の有無は?身長は?モンタドンは矢継ぎ早に質問を浴びせてきたに違いありません。
「尻尾はなかったよ。身長はどうだったかなあ、結構大きくて1.5メートルぐらいあったと思う。そうそう、その猿が腰掛けてる石油缶。どこにでもあるやつで縦の長さが45センチあるんだよ。石油缶と比較してみると、、、えーと、やっぱり1.5メートルぐらいあるね」
一見するとただのクモザルの仲間に見えるこの写真の中の猿、しかし、ド・ロワの証言がそれを否定しています。クモザルにしてはあまりに大きすぎ、そして決定的なのが、尻尾がないという事実。
興奮を隠せないモンタドンを尻目に、ド・ロワは敢えて興味なさそうにこう言えばいいのです。
「この猿 (類人猿) は、そんなにすごいものなのかい?」
フェイク写真をアルバムに潜り込ませ、偶然を装ってモンタドンに見つけさせ、そしてしらを切り通せば、ことはド・ロワの目論見通りに進むでしょう。
モンタドンは「ド・ロワの類人猿」に学名を与え、論文を書き上げ、そしてパリ科学アカデミーで発表しました。
しかし、上記の通り、「ド・ロワの類人猿」に対する科学者の反応は芳しいものではありませんでした。
また、たいていのUMAに関しては快く信じてくれる未確認動物学者、アイヴァン・サンダーソンでさえも「クモザルにすぎない」とド・ロワの主張を一蹴しています。
未確認動物学者、ローレン・コールマンは最近になって、この謎の類人猿の右側に写っている植物に注目しました。
「この植物はバナナの木ですが、南米にバナナは自生していません。バナナが存在するとすれば、(バナナの木が持ち込まれた) バナナ・プラントのある人里近いところに限られます。
ド・ロワの主張通り、この類人猿がジャングルの奥地で撮影されたというのであれば、バナナは写真に写っているはずはありません」
しかし、どんなに嫌疑をかけられても、フランソワ・ド・ロワの亡くなった現在では真実を知る由がない、というのもまた事実です。
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