■見えざる殺し屋 殺人クラゲ (イルカンジクラゲ)■
■Irukandji jellyfish (Carukua barnesi and Malo kingi)■
(イルカンジクラゲの動画
※ 画像をクリックするとYouTubeに飛びます)
~ 見えざる魔物の噂 ~
さて、今回は猛毒イルカンジクラゲです。
すでに超猛毒クラゲ、キロネックス・フレッケリを紹介済みなので、似たようなものなのですが、こちらを調べる人も多いみたいなので紹介しておきます。
オーストラリア北東部、現クイーンズランド州付近には、イルカンジ部族 (Yirrganydji or Irukandji) と呼ばれるアボリジニが住んでいます。
彼らの伝承によれば、海にはとても小さく、かつまったく見ることができない「怪物」が生息しているといいます。その怪物は取るに足らないちっぽけな存在でありながら人々を苦しめ、時には死に至らしめるといいます。
(イルカンジクラゲはこんなに小さい)
そう、この見えざる怪物こそ、キロネックスに勝るとも劣らない超猛毒クラゲ、イルカンジクラゲのことです。
もちろんこのイルカンジクラゲという名前は、このクラゲの存在を昔から知っていたイルカンジ部族にちなんで命名されたものです。
このクラゲによる被害はイルカンジ部族の住む地域の海岸沿いで特に集中しています。
(立方クラゲの被害の分布)
~ イルカンジクラゲ ~
(立方クラゲ注意の標識)
イルカンジクラゲはキロネックスなどと同じ立方クラゲ (box jellyfish) の仲間で、その名の通り傘の形が一般的なドーム型ではなく立方体に近い形をしています。
現在、イルカンジクラゲと呼ばれるクラゲはカルキア属のカルキア・バルネシ (Carukia barnesi) と つい最近新種と認められたマロ・キンギ (Malo kingi) の2種を指しているようで、今後も増えるかもしれません。
ちなみに、"Malo kingi" という名は、2002年、このイルカンジクラゲに刺されて亡くなったアメリカ人観光客、ロバート・キング (Robert King) 氏にちなんで命名されたものです。
イルカンジクラゲとキロネックスと決定的に異なるのはその大きさで、傘の大きさはわずかに1センチ程度と、とてもとても小さなクラゲです。
立方クラゲに関わらず、クラゲは体が透けているものが多く水中で発見するのは困難ですが、イルカンジクラゲはその上、からだが著しく小さいためさらに発見が困難なクラゲです。
イルカンジ部族が「見えざる存在」と認識していたのも致し方ないでしょう。
さて、彼らの毒性を見ていきましょう。
~ 見えない殺し屋 ~
イルカンジクラゲは猛毒だといわれていますが、本当でしょうか?
遊泳力が高く、クラゲでありながらレンズ付きの目を持つ立方クラゲの仲間といえど、彼らの小さな体を維持するのにそれほど栄養を必要とするとは思えません。
数センチの小魚を1匹しとめる程度の毒で十分すぎるはずです。
クラゲに刺されたときのダメージは、毒の強さや、毒をいかに効率よく相手に伝えるかなどでも大分異なってきますが、基本的に刺された面積、つまり触手が触れた面積に比例します。
ですから触手は数が多く、また長いクラゲのほうが危険ということになります。
↓
↓
(触手が獲物に触れると、クラゲの意志に関係なく
自動的に刺胞から毒が発射されます)
まず、その触手の数を見てみましょう。触手は傘の四隅にある葉状体 (ようじょうたい) と呼ばれる部分から短冊のように垂れ下がっています。
キロネックスは4つある葉状体から各15本ずつ、計60本の触手を持ち、さらに最大で4メートルにまで成長しますから、人間が絡まってしまうのも仕方がありません。絡まると死亡確定です。
一方、イルカンジクラゲは傘の大きさが1センチあるかないかと超小さく、葉状体からでている触手は各1本、全部で4本しかありません。
触手は個体によっては1メートル前後とかなり長くなるものもいるようですが、ふつうはそんなに長くなく、数センチ~程度と大したことはありません。
つまり、キロネックスのように体に絡まってしまうほど触手の数は多くもなく、また長くもありません。
触手の数が少なく長くもないということは、刺される面積も非常に小さいことがわかります。
この程度の面積を刺されて、伝えられるほどのダメージが本当にあるのでしょうか?この程度なら痛いものの、平気そうな気がします。
イルカンジクラゲの猛毒伝説は誇張されたもの、、、そう考えていいのでしょうか???
~ イルカンジクラゲの威力 ~
(傘の部分にも刺胞を持つ全身ウェポン、イルカンジクラゲ)
しかし、実はそうではないのです。
イルカンジクラゲはあまりに小さく、そのため犯人がイルカンジクラゲと断定できる事例は少ないのは確かですが、その症状から少なくとも数人は確実にイルカンジクラゲに刺されて死亡したことが判明しています。
そして、実際のイルカンジクラゲの犠牲者の数はそれよりも遙かに多いだろうと推測されています。
というのも、現在までに「溺死」もしくは「変死」などで片づけられている海難事故の中に、実は一人で泳いでいて、イルカンジクラゲに刺され、その後症状が現れ溺死してしまった人もいると考えられるからです。
イルカンジクラゲはとても小さいため、刺されてしばらくは自分が刺されたことも気づかないほど、また傷跡もほとんど目立たないといいます。
しかし、大変なのはその後です。しばらくすると頭痛、腰痛、筋肉痛と体中あらゆる部分が激痛に襲われ、さらに動悸、急激な血圧上昇など、運が悪いとそのまま死んでしまう場合があります。
このイルカンジクラゲに刺されたときに現れる諸症状を「イルカンジ症候群 (イルカンジ・シンドローム, Irukandji syndrome)」といいます。
イルカンジクラゲのニックネームは「インビジブル・サイレント・キラー (Invisible silent killer, 見えない静かな殺し屋)」、その名に恥じない、海の静かなるヒットマンといえます。
<この記事のURL>
http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-733.html
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おちおち海にも入れない…。
いかに人間が弱い生き物かということがわかりますね。
地味に痛いんですよね><
でも死に至るほどの毒を持ってる種がいるとは!
刺されたのが普通のクラゲで良かった^^ …のかな?
検索エンジンから訪問させていただきました。
すごい怖いと恐怖心にかられたが、日本にはまだ来ていないと聞き一安心。
クラゲから逃げる事は難しいですよね。。。
海に入らない事が一番
それにしても、部族の伝承で語られてたとは・・・伝承だからと馬鹿にはできませんね。
時にとんでもない真実が隠れてます。
ベストハウスにアンビリバボー。侮れません。そういえば、調査していた学者さんが刺されて大変だったのはどっちでしたっけ!?
・・・と、思ったのは私だけではないだろう。
僕はないですけど、プカプカ浮かんでいるのを見るだけで、なんか怖く見えてしまいます。海は毒の生物が多いですからね、これから夏場ですから気をつけてください。
イルカンジはそこそこ有名だと思いますが、この大きさが驚異ですよね。確かにイルカンジの語感から受けるイメージもミステリアスですし、実際、その生物も神秘的で興味深いですよね。赤道を越えていないですが温暖化で今後どうなるかはわからないですね。
てっきり、「管理者の承認待ちコメント」の中に一人ぐらいはいる感じがしたんですけどねぇ。
つうか、しつこかったですね<( ̄∇ ̄)ゞ
大人になって色々学習して、余計海に入れなくなっちゃったな~(笑)
どうして大きいクラゲは毒性がなかったりするのに、小さいクラゲに限って猛毒なんでしょう…。この世で一番怖いのはやっぱり海だと思います。
それにしても、亡くなったロバートさん、自分を殺したクラゲに自分の名前がつくとは、複雑なんじゃないでしょうか(苦笑)
小さい生き物は毒とか持ってないと体を守れないし、餌も獲るのも難しいですからね、やっぱり強力な毒があってこそ今の繁栄があるのでしょう。
得体の知れない水の中が、まったくダメな私にとってはそれでも海に入って、調査を続けてる学者さんは、尊敬☆です。
アンボイナとか…怖っ
漁師町なのに…(-_-;)
でも、海の生物好きなんで怖い物見たさで知りたくなっちゃうんですよねぇ(^_^;)
イルカンジクラゲのほうですかね、そのドキュメンタリー、キロネックスはちょっと大きめに育つので。海の生物は毒が半端じゃないものが多いですからね、ほんと怖い(笑)
この間海水浴場でアンドンクラゲに刺されたのですが、小さいクラゲって全く居ることに気づかないんですよね。
アレより小さいクラゲが猛毒だなんて・・・想像しただけでゾッとしますね。