■超短命! ~ 1時間ブヨ (1時間ユスリカ)■
■Clunio marinus■
~ 痛恨の遅刻 ~
彼女との初デート、少々気合いが入りすぎ、ヘアスタイルのセットに手間取ったために30分の遅刻をしてしまいました。
待ち合わせ場所に彼女の姿はなく、怒って帰ってしまったのかと思いきや、よく見ると彼女は待ち合わせ場所で死亡、死因は老衰、訳が分かりません。
初デートに30分遅刻する青年もなかなかのものですが、まさか彼女が死んでいるとは、しかも老衰、、、言い訳を聞いてくれる相手はすでに天に召され、青年はただただ天を仰ぐだけ、、、
~ 1時間ブヨ ~
タイトルはブヨ (ブユ) になっていますが、ユスリカ (ウミユスリカ) のお話です。「またまた99匹の跳ぶ、這う、かじる仲間」で「1時間ブヨ」という名前で登場しているので、そう呼ぶことにします。
上に挙げた話は人間の世界ではとうていあり得ないことですが、この1時間ブヨ (Clunio marinus) と呼ばれるユスリカの世界では「常識」といえる出来事です。
見かけはふつうのユスリカと代わり映えしない1時間ブヨですが、2つの点で非常に興味深い生き物です。
まず第一点、このユスリカはヨーロッパの海岸を主な生息地としており、昆虫でありながら幼虫は海水に棲息するという点がとても珍しい特色です。(ウミユスリカの仲間は日本にも棲息しているようです)
そしてもう1点、非常に短命であるということです。
~ すべては30分の中に ~
1時間ブヨ、という名前は、その名の通り、かれらの成虫期間がわずか1時間程度しかないことから命名されたものですが、亜種などを含め通常2~3時間、短命なものでは30分程度しか成虫として活動できる時間はありません。
ユスリカの仲間は蚊ではありませんから人間の血を吸うことはありませんし、基本的にユスリカの成虫はなにも食べません。
しかし、仮に1時間ブヨに口があったとしても、タイムリミット30分ではとうてい食べている時間などないでしょう。
このわずかな時間で仲間と合流し、パートナーを見つけ、交尾・産卵を行わなければならないのですから。
~ 超短命の理由 ~
この30分という寿命はメスの寿命で、オスはたぶんもうちょっと長いはずです。
ではどうしてそんなに短命なのか、というと、長くても意味がない、まぁ、意味がないなんていう言い方はちょっと失礼ですが、少なくとも子孫を残す上ではあまり効果がないからです。
この1時間ブヨ、交尾を終えたメスが卵をポトンポトンと無造作に海の中に産み付けるわけではなく、干潮時に水底が現れたとき、その水底にある海草に産卵します。
この2週間に一度現れる水底を目当てに一斉羽化するため、奇をてらって1日早く羽化するなど言語道断、オスにしても遅刻は厳禁、まさに究極のピンポイント繁殖です。
というわけで、成虫期間が長くてせいぜい1週間程度しかないユスリカの仲間ですから、寿命を2週間以上に伸ばすか、そうでなければうんと短くするかどちらかしか意味がありません。
十七年ゼミなどと同じように繁殖を分散するより集中した方が得策ということで短い方を選択し、寿命30分という究極的な短命のユスリカが誕生したのではないかと思います。 (たぶん)
(参考文献)
またまた99匹の跳ぶ、這う、かじる仲間 (メイ・R・ベーレンバウム著)
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お、あの子いいな~
しかたない!
あの子でいっか~
って感じになるんじゃないですか?w
成虫というのは所詮遺伝子を残すための
一形態でしかないのなら食餌中に他者の
胃に収まり結果を残せぬよりはこの方が
効率的、とはいえ随分ドライな進化を遂げ
たものです。
大量の彼らが一斉に羽化する様は壮観か
とも思えるのですが実際居合わせたら体中
虫まみれに成っちゃうんでしょうね、多分。
ところでナムさん、「ヒトガタ」ってUMAになるんですかね?
都市伝説色が強いですが、ナムさんの解釈で紹介してもらえませんか?いつも解釈の切り口に感動してるんで
ところで、ニンゲン&ヒトガタのリクエストはメールとかも含めるとずいぶんたくさんもらっており、いつかは書かねばと思いつつ、莫大なソースに目を通さねばならず、、、といまだに実現しておりません(笑) しかしいつかきっと、、、気長にお待ちください。
今住宅地付近で大量にユスリカが発生していて迷惑害虫なる分類に入れたれてるらしっす。
原因わ付近にある湖の水質汚染でヘドロが溜まってユスリカの幼虫がわっさわっさらしいです。
なんでもユスリカわ鯨と同じ血液の成分と同じらしいのでヘドロの中でも平気で呼吸できるらしいです。
記事を書けばすぐ消えるんですけど、ちょっと時間がなくて、、、
そのうち更新します。